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RAY ANGEL SPACE REMIX  作者: 迫田啓伸
58/71

5-6

 また別の宇宙生物がレイAに体当たりを加えた。

 再びエデンが激しく揺れ、映像が消えかかった。

 レイAは押しつぶされ、エデンの外壁と宇宙生物にはさまれ、身動きが取れないでいる。

「数が多すぎる! レイ・エンジェルだけじゃ全然ダメだぁ!」

 レイAは起き上がろうと、腕をついた。

 コケは指先まで覆っていた。

 宇宙生物はレイAから離れ、二度目の体当たりを食らわせた。

 当然船は大きく揺れる。レイAは外壁にめり込んだ。

 ヘイルは床に伏せたまま、映像を注視していた。

 今、セリナは何を思っているのだろう。

 本当はとても怖く、激しい痛みに泣き出しそうになっているんじゃないか。

 目をそらすこともできたが、それだとセリナに悪い気がする。

 時々ノイズが走り、映像が見えなくなる。

 しかし、ヘイルはどんなことになろうと、レイAを見ていようと決めた。

隣にいたコネクターが、不意に大声を上げた。

「三十分経ちました。もう大丈夫です」

 言葉の意味がわからない。

「何が?」

 敵は一向に減っていないし、レイAは相変わらず危険な状態にある。ヘイルは汗と一緒に涙を拭いた。

 こんなときに何を、とコネクターをにらんだ。

「レーダーを見てください」

 コネクターはヘイルに目もくれずに言った。ちょっと頭にきたが、立ち上がり、言われるままにしてみた。

「恒星に近づいています。スーパーノヴァが起きそうな、赤色超巨星です」

「それで?」

「レイ・エンジェルのエネルギー源は、なんだかわかりますか?」

 そういえば、と口にしたきり、言葉は後に続かなかった。

 仕方なく首を振り、コネクターを見た。

 コネクターはこう答えた。

「光です。伊達や酔狂で『RAY・ANGEL』という名前をつけられていないのですよ」

 少し自慢げなコネクターの声が、とてもほほえましく聞こえた。

 恒星がよほど大きいのか、レーダーの端にそれらしき星の一部が赤い面として映っていた。

「レイ・エンジェルが負けそうなのは、光が不足していたからか?」

「そうです。あと疲れや痛み、恐怖による戦闘へのためらいも原因のひとつでしょう。でも」

 コネクターの声は自信に満ちていた。

「もう大丈夫です。レイ・エンジェルは復活します」

 この言葉を確認するかのように、ヘイルは繰り返しうなずいた。

 ぐったりと倒れていたレイAは起き上がった。消えかかっていた目にも、光がよみがえった。


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