5-1
コネクターとヘイルはレーダーを覗き込んでいた。
「敵の数が多くなってきてるな」
レーダーに映るエデンは小惑星群に入っていった。
それから、宇宙生物の包囲が厳しくなったのだ。
コネクターはレーダーに人差し指を向けた。
「レイ・エンジェルがエデンから出ました。この赤と白の点滅している丸がそうです」
ヘイルは息をするのも忘れ、レーダーを食い入るように覗き込み、うなずいた。
レーダーには敵を示す赤丸が増えていき、エデンの周囲の青い空間を広く占めていった。
「何かあったら言ってください。私からセリナに連絡します」
「あぁ」
コネクターの話を聞いていなかったのか、どこか上の空の返事だった。
ヘイルは瞬きもせず、レーダー内のレイAを見つめていた。
レイAは敵を次々と倒しているようだった。
その根拠として、赤丸が次から次へと消えていく。
「僕が、乗れたらなぁ」
イラだち、声が震えていた。
「代わって、やれるのに……」
「セリナより弱くても、ですか?」
レーダーから目を離し、コネクターを上目使いで見上げた。
「確かにそうかもしれないが、でも、僕は少しでもいいから、力になりたい。あの子、一人でいるのが苦手だから。一人で戦っているんじゃないってこと、わかってほしいんだ」
「愛しているのですね、セリナのこと」
「ま、まぁ」
ヘイルは愛想笑いを見せ、再びレーダーに顔を近づけた。それを見ていたコネクターも微笑んだ。
「で、でも、これじゃよくわからないな」
コネクターはレーダーの下部にある金属部分に手を触れた。
レーダーから放射状に光が放たれた。
部屋の中の一本の柱の前に光が集まり、もうひとつの壁を作った。
「エデンの外装に組み込まれたカメラで撮影しています。めったに使わないのですけど」
コネクターが指を鳴らすと、照明が一気に落ちた。
新たにできた壁には、戦っているレイAの姿が鮮明に映し出された。
グロテスクな宇宙生物に囲まれた赤い体のロボットが見えた。
翼があり、赤を基調とした鎧を連想させる造型の装甲に、細身の体。それが宇宙空間を機敏に動き回り、槍か杖かわからない武器で、レイAよりも大きな宇宙生物を次々と倒していく。
「あ、また一匹!」
レイAは常に多くの敵に囲まれていたが、まったく動じることなく対処していた。その動きは華麗で、翼を羽ばたかせるごとに強い光の粒子がふりまかれ、レイAの優美さを演出しているように思えた。




