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RAY ANGEL SPACE REMIX  作者: 迫田啓伸
28/71

3-4

 今のセットは相手チームにとられてしまったが、次のセットはこちらがとった。

 時間の都合で第3セットは途中で中断した。

「気をつけ、礼!」

「ありがとうございましたー」

 解散し、着替えに行く。

 その間、セリナは今日のことを思い出してみた。

 朝、母親に起こされた。

 遅刻せずにすんだ。朝食のメニューはコーヒーとトーストで、ブルーベリージャムをつけて食べた。

 登校中、またあの夢を見て、夢から覚めると、バレーボールの試合をしていた。

 今までの記憶はそれしかない。

 着替えているとき、何人かがやっかみ半分でセリナをからかってきた。セリナの胸が15歳にしては大きいからだと。

 冗談だとわかっていたので、自分も冗談を言い返し、後は適当に聞き流した。

 回想を終え、着替えも済んだ。

――jour reve (白昼夢)?

 いやいやまさか、と首を振る。

 まだ寝ぼけているのかもしれない。

「それじゃ、先にいっているから」

「はいはーい」

 セリナは足早に体育館を出た。

 彼女たちの顔はさらに変化していた。

 マネキンどころか、今では下手な腹話術人形になっていた。

 顔に特徴が残っているので誰だか判別できるものの、人間とは思えない。

 質感はプラスチック。

 動作も筋肉によるものではない。セリナから見た彼女たちの行動は、まさに人形劇だった。


 匂いもない。

 風は吹いているが、肌に感じることはなかった。

 髪や、草木は揺れているというのに。

 景色が作り物のように見えてきた。

 形はどこかイビツだし、何を触っても同じ感触しかない。

 手に持っている体操服も、目で確認していなければ、雑巾とかただの綿とかに変わっていそうだ。

 職員室に通りかかったので、ちょっとのぞいてみた。

――ここも……。

 本当におかしくなってしまったのかと不安になり、すぐに離れた。

「いつ終わるのかしら」

 今度は天井と壁の境界線がぼやけてきた。


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