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動きが止まった。
その場に佇み、少し上を向いてみた。クズのようになった宇宙生物は宇宙空間に浮遊し、セリナから離れていった。
星なのか体液の粒なのかわからないが、小さな球体が光を反射させながら流れていく。
まぶたが重い。
疲れが一気に押し寄せてきた。
セリナは一歩踏み出した。
熱が鎧のような外装の下にこもっているようだ。暑いんだか、寒いんだか全くわからない。
宇宙生物はいなくなった。
今は、足元の宇宙船以外、セリナの周囲には何もない。
手を伸ばせばつかめそうな星は、この場所からどのくらい離れているのだろう。
足を引きずるようにして、出入り口へと歩いていった。
目の前にはどこまでも続く空間があった。
果てはあるんだろうか。
いや、あるはずがないと即座に否定する。それなのに、行ける所までいってみようかという気持ちはとても強くかきたてられる。
宇宙船の中に入り、エアロックを閉じた。
そのとき、セリナの体に激痛が走った。
全身が悲鳴を上げているようだった。声を上げることすらできなかった。
武器を落とし、自分自身を抱くように体を縮ませる。
―イタイ。
セリナの両膝は折れ、彼女は前のめりに倒れた。力が入らない。船内の重力に任せ、巨大な金属の体を床に落とした。
痛みは痺れへとかわっていった。
翼を立てた、しかし、すぐに脱力し床に伏せてしまった。そのときの音と振動がセリナに伝わってきた。
そこでセリナの意識は途切れた。




