キス。
昔の作品を新生☆永遠愛として書き直しました!
「菜摘…」
「ん?…」
名前を呼ばれ、振り向くとそこには彼の顔が数センチの距離に―――
ドン!
「嫌…っ」
「え!?おい、ちょっ…」
あたしのバカ!
最低!最低!最低!
【キス。】
「…っ…ハア…ハア…っもう…っ最悪だよおー…」
…あたし、春瀬菜摘。大学1年生。
さっきまで彼氏の加地亮太とデートしてたんだけど…
キスされそうになって亮太を突き飛ばして逃げてきちゃった…。
あたしは、キスが嫌いだ。
…嫌いというか、した事がない。
そりゃあ、大学1年にもなれば
それまでにも彼氏はいたし、キス以上の事も経験済みだ。
だけど、キスは1度もしたことがない。
ずっと拒み続けてきた。
…理由?
理由なんてない。
“気持ち悪いから”。
えっちは相手と繋がって幸せな気持ちになるけど
キスは、口と口をくっつける意味がわからない。
無理。
絶対無理。
まあそれが原因で何人もの男にフラれてきたんだけど。
今回もフラれちゃうのかな…
嫌だよ、亮太…
すきだよ…
「菜摘!」
「亮太…」
呼ばれて振り向くと
走ってくる亮太の姿。
「…ハア…何だよ…?菜摘…ハア…どうしたんだよ?」
「あ………」
言えない…
こんな息切れしながら走って来てくれたのに
キスが嫌いなんて言えないよ…
「…菜摘」
「えっ?」
「ぶっちゃけずっと思ってたんだけどさ、菜摘キスするの嫌?」
「え…」
バレてた!?
「こないだも俺がキスしようとした時そらしたろ?…菜摘俺の事嫌いになった?」
「ちが…っ!……っ」
違うの…
違うのに…
「…言い返さないってことはそうなんだろ?わかった…」
亮太はあたしに背を向けて帰ろうとしてる…
もう…っ
しょうがない…!
「あたしっ…!キスが嫌いなのっ!」
「…はあ?」
亮太はびっくりしながら振り返った。
「…亮太とするのが嫌なんじゃなくて、キスそのものが嫌いなの!」
「…え?」
「…あたし実はファーストキスまだで!キス無理なの!」
「…何で?」
「何で…っていうか…口と口くっつけて何が楽しいのかわかんないし…とにかくダメなの!」
「………」
ああ…フラれたな…
あたしとことんバカだな…
こんな街のど真ん中で叫んでフラれて注目浴びて…
…フラれたくないよ
すきだよ…亮太…
「…俺だってわかんねえよ」
「…へ?」
黙りっぱなしだった亮太がいきなり口を開いた。
「俺だって!口くっつけて何が楽しいのかわかんねえよ!」
「ちょ…っ亮太!」
口を開いたと思ったら
いきなり叫びだしたし…
…亮太
「…でも俺はお前見てるとしたくなるんだよ」
「え…」
「お前見てると可愛いなとか抱き締めたいとかキスしたいとか…そういう気持ちになるんだよ」
「………」
「お前はそうじゃねえんだな…」
ズキ…
亮太は悲しげな表情を見せながら歩いてく…
トク…ン
トクン…
何だろう、この気持ち…
“やだよ”
“行かないで”
“好きだよ”
そんなんじゃない
そんなんじゃ足りない
“愛しい”―――…
何だろう…
今すごく亮太に
グイ!
「え…おい、なつ…」
キスしたい―――…
「…ハア…ハア…」
あたしは無理矢理亮太の腕を掴み、人生で初めてのキスを交した。
「ハア…何だよっ…!お前キス嫌なんだろ?」
亮太怒ってる…
そりゃあそうだよね…
でもね?
「…ごめん、…キス…したかったんだ…」
「…へ?」
「何かあたしも今…発情したかも(笑)すっごいキスしたくなったんだ…」
そう…
“愛しい”そう感じた瞬間に頭で考えるより先に身体が動いて――…
キス、したくなった…
「え!?え…は?どういうこと!?」
戸惑いを隠せてない亮太。
トク…ン
「…ねえ」
トク…ン
「ん?」
“愛しい”―――…
「…もう一回しよ?」
あたしね
わかったんだ
キスって
気持ちいいからでもなくて
好きだからでもなくて
…愛しいから
したくなるんだね――…
「………いいよ。」
【終】
本当文章力ないわあ(д)我ながら最悪ですね;感想、アドバイス待ッてます☆