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白狼と鳥籠の令嬢  作者: すい


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第1話:鳥籠の令嬢

初投稿です。よろしくお願いします

セラフィナは、完璧に微笑んでいた。


深みのある紫色の髪は夜の光に微かに青を帯び、

一房たりとも乱れることは許されない。


長い睫毛の影が白い頬に落ち、

青灰の瞳は湖面のように静かだった。


華奢な首に細い真珠のネックレス。

その下の身体は、息苦しいほど締め上げられている。


背筋は伸ばし、指先まで優雅に。


完璧な令嬢。

そう在るために、彼女は作られてきた。


声は鈴の音のように柔らかく、

視線は決して泳がせない。


疲れてはいけない。

退屈してはいけない。

怒ってはいけない。

悲しんではいけない。


令嬢とは、美しい人形であること。


幼い頃からそう教え込まれてきた。


ダンスの足が血を滲ませても、

刺繍針が指を刺しても、

微笑みだけは崩さなかった。


「伯爵家の娘は、誰よりも誇り高く」


母の言葉。


「お前は期待に応えねばならない」


父の言葉。


期待。


それは愛ではなく、鎖だった。

目に見えないけれど、彼女の内側を縛っている。


息をするたび、少しずつ締まっていく。


自由はそこにあるはずなのに、

彼女は一歩も踏み出せない。


鳥籠の中の令嬢。


それがセラフィナだった。


明日もまた微笑み、

明日もまた飾られ、

明日もまた“期待”に応える。


その繰り返しが一生続くのだと、思っていた。


セラフィナは静かに目を伏せた。


完璧な令嬢のまま。


何も知らないまま。


運命の日が、すぐそこまで来ていることを――


まだ知らずに。


感想などありましたら是非お聞かせください。励みになります!

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