…と申しておりました。
…ふと思いついてしまいました。
神木近くに倒れていたニホンという所から来たと言う少女は少しではあるが癒しの力を持っていたため神殿で管理されることになっていると風の噂では聞いていた。
御伽噺で異世界からの聖女が渡ってくる話は聞いたことがある、非常に有難い能力を持っていることが多いため見つけ次第神殿で大事に保護を行うと言うことも聞いている。
その聖女を私の婚約者から虐げられていると言われても信じられなかった。
怖かったと小動物の様に震えながら訴えてくる姿に婚約者からは得られなかった優越感を感じたのは事実だ。
聡明な婚約者がなぜ幼い子供の癇癪みたいなくだらない嫌がらせを聖女に行っているのか不思議に思い詳細を問いたださねばと思ったのだ。
仮にも私は王族の血を引くのだから一方の意見だけで判断することは赦されないだろう。
宰相に事情を話し状況の確認を頼むと一瞬困惑したようだが私の意見を理解してくれたようで下がって行った。
詳細がわかるまでは婚約者とのお茶会は控えた方が良いかもしれないな。
王宮にある執務室は明るい日が差し込んでいるにもかかわら冷たく重い空気に包まれていた。
「…と殿下は申しておりました。」
無表情で宰相が告げると陛下は深く溜息をつき頭を抱えた。
「いつか正気に戻ると信じていたが決断する必要があるな。」
王子は成人の時期が迫っていたが諸事情があり立太子していなかった。
…というのも。
未だに王子には婚約者がいない。
イマジナリーフレンドと言うべきか空想上の婚約者は居るようで壁に向かって話しかける姿は城内で複数目撃されており最近は転生してきた聖女が増えたようだ。
万が一のスペアとして第一王女に対し教育を進めていたのでダメージは少なくて済みそうではある。
王子は(心の)病で伏せていると噂を流し社交の場に出していなかったのも功を奏し上手くフェードアウトできる。
王子は病なのだから。
「そういえば、アレは鴨肉が好きだったな。」
陛下の目配に宰相は答えた。
「では、天にも昇る様な味になりますよう指示します。」
王子を取り合う聖女も婚約者も最初から居なかったら幸せになるかと思ったがそうでもなかった。




