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2O3l年

作者: ゴンザレス
掲載日:2025/10/22

 「猿木さん、起きてください。今日は2031年2月30日、現在時刻は7時10分。猿木さん、起きてください。今日は2031年2月30日です。現在時刻は7時10分。…」

 枕もとから無機質な声が発せられた。しかし、ベッドが動く気配はなく、だんだんと発せられる声が大きくなってくる。

 「ふぁぁ、もういいよ、タイマー止めて」

 ベッドに横になったまま僕は言う

 「タイマーをスヌーズしますか?」

 「いや大丈夫…自分で起きるよ」


 僕はベッドから起き、シャワーを浴びる。昨日は夜遅くまで研究をしていたのでシャワーを浴びるのも忘れてしまった。僕は20分ほどかけ体をしっかりと洗う。僕は他より毛深い分時間がかかる。

 「エイプ、今日の予定は何かある?」

 「今日は特にありません。今日は昨日とおなじように大学へ登校することになります。最近のニュース、天気予報などもお伝えしましょうか? 」

エイプはAIアシスタントだ。基本的な家の機能はエイプと連動している。(シャワーや食事もすべてエイプが用意してくれるのだ!)

 僕はエイプの問いに答える。

 「教えて。特に考古学関連は詳しく。」

 「わかりました。まずは国際情勢から、2月29日から○○国の大統領選挙が始まりました。有力な候補者は2人です。両陣営の対立は深刻なためどちらが選ばれても国内は不安定になるでしょう。

 考古学では1ヶ月ほど前に海底で古代遺跡が発見されました。年代としては、数千万年前から一億年前と推測されています。文字を用いるような高度な文明を持っていた可能性もあり、発見された文字らしきものの解析も進んでいます。最新のAIを使って解析しており、今日の午後に会見で発表されるようです。このニュースは私たち人類の歴史を探るうえで重要になると期待されています。また、T国では…」

 僕はニュースを聞き流しながら朝食を食べる。味は薄いが栄養だけは保証されているのだ。

 身だしなみを整え、駅の方へ向かう。今朝は少し寝坊してしまったので時間がない。

 僕はR大学の大学院生で考古学を専攻している。古代の人々の生活や文化を遺跡などの手がかりをもとに発見していくということをやっている。そのため、フィールドワークも多く、体力をつけるため普段は大学に歩いて行っている。今日は時間がないので電車を使うが。

五分ほどで駅に着き、改札を親指でタッチした。

 「ポロン♪」と軽快な音が鳴る。

 指の中にICチップが埋め込まれており、自分の体さえあればたいていのことはできる。

 10分ほど電車に揺られ大学の最寄り駅についた。

 僕の通うR大学はかなり古くからあり、敷地も広い。駅からアクセスのいい土地であるにもかかわらずだ。また、敷地内は昔からの自然も多く大学生だけでなく散歩するひとや他大学で生物を研究しているチームがデータをとるなんてことも珍しくない。



研究室についた。

「おはようございます」

僕は研究室の扉を開け、いつも通り挨拶をする。

「ああ、おはよう。」「あっ、おはようございます!」

 近くの数人が挨拶を返してくれる。

 僕は自分の机に座り、パソコンを起動した。研究自体はひと段落ついており、あとは論文にしていくだけだ。とはいっても、この作業がかなり大変なのだが。わからないことや不安なところは調べたり、人にチェックしてもらったりする。まずは、昨日やり残した部分から進めていく。

 論文もある程度一区切りがついたところで今後の研究や進路について准教授に相談しに行った。



部屋に入る前に少し中の様子を見る。どうやらあちらも一区切りついて休んでいる様子だ。

コンコンと僕はドアをたたく。

「どうぞー」

 僕が部屋に入ると少し部屋の雰囲気が和らいだ。

「なんだ、お前だったのか」

 准教授が言う。実は僕と准教授は小さいころからの知り合いなのだ。年は離れているが僕も質問や相談がしやすいのでかなりありがたい。

「今日はちょっと質問があって…」



大体質問が終わり、少し雑談をしていると准教授の部屋のAIからあるニュースが流れた。

「考古学に関するニュースです。最近発見された海底の古代遺跡に書かれていた文字らしきものの解析が終わったそうです。今日の12時から行われた会見によると、内容は意味のない文字列になってしまったそうです。…」

このニュースを聞いて僕は言う。

「これそもそも本当に文字なのかな?数千万年前に文字を使っていたなんて信じられないよ。」

「どうなんだろうな。考古学を研究する身としてはこういう発見はうれしいものだが。」

僕は准教授の背中の毛づくろいをしながら答える。

「案外僕らとは違う生物が進化していたのかもね。」

「例えば?」

「頭がでかくて手足が細いタコみたいやつとか毛のないつるんつるんの猿とかだよ」

「なんだよそれ」

准教授は少し笑いながら答える

「まあ、こうして遺跡もあるわけだしありえない話でもないのかもな」


地球は数千万年前と同じ挙動を繰り返していた。

きっと明日も数億年後もそうなのだろう…

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