糖質制限の名著
糖尿病の嫌いがあるので、注意しようかなと、本を読んでみた。
Kindle Unlimitedには、図書館レベルにいろいろな本があり、こういうときに重宝すると思った。
『運動をしなくても血糖値がみるみる下がる食べ方大全』という、『るるぶ』みたいな見た目の表紙がチープで良い感じの本が、私的にはスマッシュヒットだった。
この本は、糖尿病予備軍の人も面白く読める。
私はミーハーなので、すぐさま影響を受け、1ヶ月以上糖質制限、いわゆるロカボを実践している。
体重は、起点がちょっとあいまいだが、3キロは痩せたと思う。
どんなダイエットも続かなかったが、自分は病気なのだと思うと、意外とすんなり継続できるものだ。
1ページ目に書かれている内容はキャッチーだ。
唐揚げ定食のイラストがあり、矢印が描かれた先に、ご飯が半分、唐揚げ大盛り、豆腐小鉢を追加したイラストがある。
これでいい、というのだ。
それなら、と思うだろう。
続けられているのも、この簡単さにある。
読み進めていくと、糖尿病を気にする人は、1日の糖質摂取量を130g以下にしましょうと説明される。
カロリーは二の次。
しかし、完全な制限は続かない。
毎食20〜40gは摂る。
それでも、血糖値は下がるという。
白米100gのうち、糖質は35gらしい。
1食のなかで、白米を100gしっかり食べても、副菜の糖質を抑えたり、甘みのある調味料を使ったおかずを控えたり、デザートを食べたりしなければ、トータルで40gを大きく超えることはない。
糖質というのは、炭水化物とほぼ同義。
細かい成分表示では、炭水化物のなかで糖質と食物繊維に分けて書かれている。
気にするのは糖質の方だけで、食物繊維はむしろ積極的に取っていく。
はじめは腹が減る。
糖質の少ないもので空腹を満たす必要がある。
肉、魚、卵、野菜、豆腐、ナッツ、チーズなど。
私は最初、お守りとして、糖質が低くそのまま食べられる商品を買い漁った。
素焼きナッツ、食べる煮干し、スルメイカ、豆腐、納豆、めかぶ。
これで2日もしのげば、身体が慣れる。
あとは、空腹が、次の食事の献立を考えるモチベーションになる。
最近は厚揚げにハマっている。
生姜を面倒くさがらず毎回すりおろせば、立派な一品料理だ。
かなり腹にも溜まる。
調子に乗って、白米を50gで生卵と納豆かけごはんをつくるのだが、卵に浸った納豆の隙間に白米がただよう感じになり、不思議な食感なのでおすすめできない。
ただその分、おかずやデザートに糖質の枠が開くので、使いどころはある。
実はこの方法は、本当に糖尿病の人には注意が必要で、主治医の判断が絶対となる。
低血糖も怖いからだ。
世の糖尿病の人向け献立レシピ集を読むとわかるが、それなりに糖質を摂るよう設定されている。
血糖値を下げる薬を飲んだり打ったりしたうえで食事をとることを想定しているからではないかと思う。
だから、私がこの食生活を続けられるのも、恵まれているのだ。
体質は人それぞれだ。
私は子供の頃から太りやすい体質だった。
同じように食べているのに痩せている人がいるということが憎らしかった。
運動をしろと言われてもできなかった。
体力がなかったし、根気もなかった。
今は、自分の体質への理解が深まった。
私は糖尿病家系で、人より糖質には気をつけなければならない。
運動をしようにも、ストレスに弱い脳をしている。
だから、摂取量を少なくし、活動や体質に見合った内容に切り替える必要があった。
私の祖母は、米がないと不安になる人で、おそらく戦中戦後の感覚が抜けないのだと思う。
ご飯を一粒でも残すと、見込みがないと叱られたものだ。
私の母は、食べ物イコール糖質という、無意識の先入観をもっている人だった。
とうもろこし、さつまいも、甘いヨーグルト、炭酸飲料、果物。
お菓子ではないからと安心して、常にそういう糖質を摂取している人だった。
そこまで異常でなくても「食事とは、主食で腹を満たすもの」という常識はあるのではないだろうか。
たくさんのお米と少しのおかず。
それが一番安上がりという、経済上の後押しすらある。
子供には、困ったらレトルトカレーとごはん。
おやつに甘いもの。
せんべい、菓子パン。
今ははっきり、それは間違っていると言える。
その食生活では、体に支障をきたす人がいる。
当たり前のことを当たり前にできない体質の人がいるというのは、現代のトレンドだと思う。
うちの子供は、野菜や豆腐を、進んで食べる。
普段は手軽さから、やはり糖質中心の食生活になってしまっている。
もちろん、脳の発育には炭水化物が重要だ。
しかし、同時に子供の糖尿病が増えているのも事実。
チーズや厚揚げ、野菜に、自ら手を伸ばす。
おそらく、足りてない栄養素だということを身体がわかっているのではないだろうか。
タンパク質は好きなだけ食べてもいいという。
タンパク質や食物繊維でお腹いっぱいになったときが、それら栄養素の適量なのだと本にあった。
たしかにと思う。
糖質はいくら食べても感覚として満たされない。
いつも食べすぎてしまう。
そしてだるくなる。
でもなぜかまた手が伸びてしまう。
糖質では満腹感を得られないようになっており、糖質を脂肪に変えて蓄える仕組みが身体にあるのは、越冬のためではないかと書いてあった。
母はいつ冬眠してもいいよう、備えているのかもしれない。