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Gehenna-ゲヘナ-  作者: Filmrêve(フィルムレーヴ)
Blood Berry
18/104

10話


「本当に悪魔見つけるなんてさ!やるじゃん?」


少し馬鹿にするような腹立たしい言い方で、カラレスはこちらをヘラヘラしながら見る。


「あんたに褒められても何も嬉しくないわ。むしろ怖気が立つ」

「あ"?」


アタシの言葉に食ってかかろうとする彼を、黒髪の男がいつも通り宥める。


「それで、どうするつもり?まだ死にたいわけ?」


何だか分かりきったような表情で黒髪の男はそう言った。

その表情に多少の苛立ちを覚えたが、アタシはため息混じりに答えた。


「...あんた達の思惑通りなんて気に入らないけど...いいわ、入ってやろうじゃない」

「へぇ、どんな風の吹き回し?」

「別に...死ねない理由があるだけよ」


言葉の意味が理解できていない様子のカラレスとかいう男は、首を傾げて黒髪の男に視線を向ける。

しかし、黒髪の男は薄気味悪い笑顔を浮かべるだけで、何も答えることはしなかった。


「それ...じゃあ...本部加入おめでとう!ってことで、勿論実戦に...」

「アタシ、事務に入るわ」

「は?何で?」

「あら、事務か実戦かは選べるって本部の規定に書いてあったわよ?」

「...どこで見たの、そんなもん」

「あんたがアタシを置き去りにした部屋でよ」


カラレスはとても不服そうな顔をしながらも、一枚の紙切れを机から取り出した。


「まぁ、いいや...どうせ引っ張り出して使うつもりだし」

「聞こえてるわよ」

「だぁー!はい、これ誓約書!そこに本名書いて提出して!」


それを受け取り、部屋を出ようとした時、言い忘れていたようにカラレスが話しかける。


「あ、あとコードネームも考えといてよ?別に“魔女”のままでもいいけどさ」


その言葉を無視して、アタシは背を向けたまま、振り返ることなく扉を閉めた。


あの後、船で暴れ回っていた人々は悪魔を送り返すと共に倒れてただの死体となった。

それは暴れ回った彼女も同じで、甲板の上には見るも無惨な彼女の遺体が転がっていた。

悪魔と契約した魔女ダリアはやはり死んでいたのだ。


あの悪魔は死体を操る能力を有していて、彼女の身体を使って身を隠し、多くの魂を貪り尽くしていた...と彼らにはそう伝えておいた。


真実はアタシだけが知っていればいい...。


アタシは部屋を出て、ある一室に向かう。

そこにはガタイのいい黒いスーツを着た、厳つい仏頂面の男がいて、沢山の紙をまとめたりして、書類を整理していた。


「誓約書もらってきたわ」

「そうか、なら早く書いて提出するんだな」

「思ったんだけど...あなたアタシを本部に入れるために引き止めたんじゃないんでしょうね?」

「そうだと言ったら?」


クロコは作業の手を止めてこちらを見つめた。

アタシは机に乗り上げて彼のネクタイを掴み、その顔をグイと近づけながら言った。


「勿論、殺すわ...ふふっ」

「...笑われながら言われてもな」

「あら、アタシ本気よ?殺し屋には愛か死か...それしかないわ」

「極端だな」

「嫌いかしら?」

「いや、分かりやすくていい」


アタシはその言葉に細く笑みながら、サラサラと書類に名前を記載した。

すると、書いた名前は紙へと吸い込まれて、不思議と消えてしまった。


皮肉なものだ。

アタシの母は名前を悪魔に捧げて契約してしまったが故に、あんなことになったというのに...。


「...ふふっ」

「何がそんなに面白い?」

「ううん、ちょっとね」

「そうか」

「あ、コードネーム考えないと...何がいいかしら?」

「俺に聞いてるのか?」

「この部屋にはあなた以外いないわよ」

「俺に名付けのセンスはないぞ」

「なら尚更あなたに付けてもらいたいわ」


そんなアタシの期待の眼差しに、クロコは珍しく困った顔を浮かべる。


「なら...」


彼はそう言ってある名前を呟いた。それを聞いてアタシは即決した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日もアタシは高らかとヒールの音を鳴らしながら事務室へと向かう。

ヒールは依頼完了の報酬で購入した新作のものだ。

黒いスーツに金色の髪を束ねて、紫色の瞳で事務室に座る湿気た顔の奴らを睨む。


すると、直ぐにアタシの姿に気づいたようで、全員がこちらに視線を向ける。

アタシはそいつらを見下すようにして言った。


「手止める暇あるなら仕事なさい、殺す気でね」


ここは本部...オルド。

世界の秩序を保つために存在する裏組織。

闇から世界を操り操作する場所。


そして、アタシはここ、事務室のルアンダ。

まぁ、直ぐに登りつめてやるわ。

殺しでも事務仕事でも目指すは一流、ただそれだけ。


この新たな暗闇がアタシの生きる世界だ。

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