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Gehenna-ゲヘナ-  作者: Filmrêve(フィルムレーヴ)
Blood Berry
11/104

3話

アタシの言葉に目を合わせて考える二人組。

そして、何かを思いついたのか、白髪の男が突然不敵な笑みを浮かべる。

黒髪の男はそれを見て首を横に振ったが、白髪の男はそんなことを気にも留めず口を開く。


「ちょっと本部まで来てもらおうか」

「は?嫌よ」

「お前に拒否権なんてねぇよ。本部のこと知ったら来る以外選択肢ないし」

「あんたが勝手に話したんでしょ!」


睨み合うアタシと白髪の男を、再び宥めるように黒髪の男が割って入ってくる。


「まぁ、落ちついて。本部への加入は後で考えるとして、とりあえず事情聴取をしたいだけなんだ」

「あら、あんた誘導尋問得意そうね。アタシは『考える』なんてひと言も言ってないわよ」

「...おや、やっぱり鋭いね殺し屋は。まぁ、彼の言ってることも間違いじゃないんだよ?こちらの事情と都合だけど、もう君には来るか死ぬかの2つの選択肢しかない」


黒髪の男がそう言って薄気味悪い笑顔を浮かべると、白髪の男は立ち上がり胸元から札束を取り出して、カウンターに向かって投げつけた。


「これ、前払いな。預かっといて」

「...かしこまりました」


店主はそれを受け取ると、何事もなかったかのように再びグラスを磨き始めた。


「ほら、行くよ」

「...勝手な男ね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男達二人と夜の細道を歩いていた...はずだった。

気がつくと知らない扉の前に立っていて、そこを開くとまるで見たことない施設が広がっていた。


「あれ?あんまり驚いてない?」

「充分驚いてるわよ」

「はっ!全然見えないな!」


そう言って白髪の男が歩いていると、突然後ろから大きな低い怒鳴り声が響き渡り、彼らと同じような黒いスーツを着た仏頂面の男が近づいてきた。


「カラレス!どこに行っていた!」

「うわ、めんどくさいのが来た」

「捜索には俺とリドルも同行すると言ったはずだ。届出もなく二人でどこへ行ってた?」

「うーんと、イギリス?」

「命令された場所は北アメリカだったはずだ」

「うるっせぇな!こっちは効率よく探そうとしてんだよ!あいつらの言うことなんて聞いて見つかるわけねぇだろ」


言い合う二人をまたしても黒髪の男が宥める。

毎度こんな言い争いを仲裁しなくてはならないのかと考えるとあの男も何だか少し不憫に見えてくる。

すると、白髪の男と言い合っていた厳つい男が、ふとアタシの存在に気がついた。


「...誰だ?」

「あぁ、こいつで悪魔を見つけるの」

「おい、本部に部外者を入れ込むなと言ったはずだぞ」

「これはちゃんと任務のためだってば!」

「先日遊ぶために女を入れたのは誰だ?」

「こいつ男だっての!」


痺れを切らした白髪の男はそう言うと、引き留めようとする厳つい男を無視してさっさと歩いて部屋へと入って行く。

アタシは黒髪の男に誘導されて仕方なくその後について行った。


「これ、見て」


部屋に入ると直ぐに白髪の男は、棚から一つのファイルを取り出して手渡してきた。

ペラペラとめくり中を確認していくと、一枚の写真に目が止まった。


「これ...」

「そこに写ってるのダリアだよな?もう死んでるって言うならその女は誰?」

「いつ撮ったの?」

「一週間前だ」

「嘘、有り得ないわ」

「何で?」

「彼女は確かに死んだわ、十年以上も前に」

「詳しく聞かせてもらおうか」


そう言って白髪の男は椅子に座り、黒髪の男が部屋の鍵を閉めた。

逃がす気はないと言わんばかりの二人の様子を見てアタシは仕方なく話し始める。


「母はアタシと同じ殺し屋だったわ、結構名のあるね。でも、この業界って恨み妬みだらけなのよね。ある日、家に押しかけてきた同業者に殺されたわ」

「見たのかい?」

「ええ、地下室からね」

「そう...災難だったね」

「同情ならもう少し演技を練習した方がいいわよ。それにアタシは親の死を悲しむほど優しい人間じゃないの」

「それは良かった、話が省けて助かるよ」


黒髪の男はそう言って、わざとらしい笑顔を浮かべた。


「...この女の居場所が分かっているのなら、さっさと捕まえて吐かせたら済む話じゃないのかしら?」

「いや、こいつが姿を現したのはこの日だけ。ダリアが本当に死んでいるのなら、悪魔が契約者であった彼女の姿を借りただけかも」

「その悪魔そんなに見つからないの?」

「どういう訳か魔力が感知されにくいみたい。今、悪魔課が調べてるけど...これも中々進まないんだよね」

「悪魔課?」


アタシの疑問の声に白髪の男はハッとして、突然ファイルを閉じた。


「そう言えばさ、何も話さずにここ呼んだよね?」

「あら、やっと気づいたのね、お馬鹿さん」

「じゃあまず自己紹介から、俺は天才の!カラレスだ」

「天災の?」

「まぁ、あながち間違ってないかな。お前は...“魔女”が本名じゃないよな?」

「ジェーン・ドウよ」

「...ふざけてんのか?」

「何が?」

「名無しの権兵衛って意味だろそれ」

「あら、博識ね。でも、これがアタシの名前よ」

「え、マジで?」


カラレスという男はそう言って困り顔で頭を掻いた。


「ちょっと用事思い出した。後のことはそうだな...クロコに聞いといて!」

「あ、カラレス、ダメだよ待ちな!君また勝手に誓約書に名前書こうとしているだろ!」


二人は何か訳の分からない言い合いをしながら慌ただしく部屋から出て行った。


え、ちょっと、まさかこのまま放置?

本当...有り得ないわあの男。


ため息混じりにガランとした部屋を見回すと、ふと男がファイルを取り出した棚に目が止まった。

アタシは棚へと近づき、おもむろにその中の一つを手に取ると、パラパラと中のページをめくった。


何これ...英語にドイツ語に...ロシア語?

一体何ヶ国語あるのよ。

それに内容もおかしなものばっかり。


『悪魔課資料一覧』

『天使課資料一覧』

『人間課機密情報』


おかしな題名が付けられたファイルの数々。

そのデタラメな内容に初めはおふざけかとも思われたが、厳粛な資料のまとめられ方に妙な説得感を抱いた。


アタシは適当に手に取ったファイルの一つを棚へと戻すと、今度は題名をしっかり選んで手に取った。


『本部について』

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