混乱と陰謀と……⑥
「だ、大丈夫でしたかレイドさん?」
「え、ええまあ……すみませんお騒がせして……」
「いやそれは構わないんだが、さっきの女性は確か教会に来てる聖女のマリア様だよなぁ……何でレイドさんにあんな真似を?」
「別にレイドさんが変なことしてたわけでもないのに……まさかあの噂を信じ……い、いや何でもないんですけどね……」
周りを取り囲みながら俺を気遣う言葉を呟く町の人達だけれど、少しだけその視線には俺への疑心が混じっているように見えた。
何せ女性である聖女マリアが、男である俺へ暴力的な行為を振るおうとしていたのだからそれなりの理由があると感じてしまうのだろう。
ましてや俺に関する変な噂も流れているのだから、どうしても思うところが出てくるのだろう。
尤もそれでも俺を糾弾するような形にならない辺り、本当に普段の行いで信じてもらえているのだと分かり少しだけ安堵する。
「俺も何が起きているのか良く分からないんですよ……済みませんがもしも彼女を見かけたら俺はギルドへ向かったとだけ伝えてください」
再度周りの人に頭を下げつつ、マリアへの伝言を頼んでからその場を立ち去る。
その際に一瞬だけマリアの後を追うべきか迷ったが、結局は当初の予定通りギルドへと向かう。
(どこに行ったか分からない以上追いかけようがないし……そもそもあれだけ離れては駄目だって言ってたマリア様が自分の意志で離れて行ったんだから、今は傍に居られないってことだもんなぁ……さっきの行為と言い何か訳があるのかもしれないし、頭が冷えるまで距離を置いたほうがいいに決まってる……)
色々とマリアを追いかけない理由を考えたが、どれもこれもが言い訳に思えてしまう。
当たり前だ……本当のところは、俺自身がすぐにでもあの二人が居るであろうギルドへ向かいたいだけなのだから。
段々と早足になりながら、見えてきたギルドの入り口に飛び込むように身体を滑り込ませる。
「おはようご……?」
しかし中はがらんとしていて、人影は全くなかった。
扉は開いているし明かりもついているから誰も居ないというわけではなさそうだが……そう思いながら室内を見回していると、カウンターの内側に隠れて居たらしいアンリが顔を覗かせてきた。
「その声はレイド殿だな……おや? マリア殿はどうされたのだ?」
「おはようございますアンリ様……それが俺にも良く分からないのですが、何やら用事があると言って何処かへ行ってしまいまして……」
「うぅむ……やはり妙であるなぁ……あれだけレイド殿から離れまいとしていたマリア殿がのぉ……」
首を傾げながら改めてカウンターの内側の席に座りつつもギルドの入り口を監視し続けるアンリ。
王宮からの追手を気にかけているのだろう……現に彼女は宿も取らずこのギルド内に隠れ住んでいるほどだ。
(暮らしてた王宮とは比べ物にならないぐらい質素な建物なのに、文句ひとつ言う所か自発的に警戒までして……強い人だ……しかし他の人達はどこに? マスターもまた姿が見えないし、何よりもあの二人が……)
「はは……本当に参りましたよ……ところで他の人は……アリシアとアイダが来ませんでしたか?」
「マスターはまた町長辺りに呼ばれておるようで朝一番で出ていきおったわ……そしてあの二人ならば……ふふふ、もちろん来ておるぞぉ~」
俺の疑問に答えたアンリだが、何故か後半は急に怪しい笑みを浮かべて俺を見つめてくる。
その姿に何やら嫌な予感を感じてしまう俺だが、それ以上に二人の居場所が気になって仕方がない。
(ここに居ないってことは奥に居るってことだよな? いつもならここにいるはずなのに……ま、まさか俺の顔を見たくなくて隠れてるとか……っ!?)
そんな筈はないと思いたいが、別れ際の二人の態度を思い返してみると完全に否定できないような気もして何やら妙に不安になってくる。
「そ、そうですか……じゃあ奥に居るってことですよね? 二人はそこで何を……」
「なぁに、すぐにわかるとも……ふふふ……しかしマリア殿の件と言い、レイド殿は何と言うか女難の気があるのかもしれぬのぉ~」
「えっ!? そ、それはどういう……」
「あ、あれっ!? れ、レイドもう来ちゃったのっ!?」
「あ、アイダ?」
意味深にほくそ笑むアンリへ更に訪ねようとしたところで、奥の部屋に繋がるドアが少し開いたかと思うとアイダの声が聞こえてきた。
しかし何故かアイダはそれ以上ドアを開くことなく、顔を見せてもくれない。
「うぅ……ど、どうしようかアリシアさん……?」
「あ、アリシアもそこに居るのか?」
「う、うん……だけどその……うぅ……」
俺の言葉にアイダは返事こそしてくれるが、どこか歯切れが悪い。
いったい何がどうなってるのか物凄く気になって、気が付いたら俺はカウンターを乗り越えてドアの前へと立っていた。
「えっと、その……開けますよ?」
「あっ!? ちょ、ちょっと待ってっ!? も、もう少しだけっ!!」
「は、はぁ……それは構いませんけど……」
「ふぅ……はぁ……よ、よし……い、行こっかアリシアさんっ!!」
そしてドアに手をかけた俺に待ったをかけるアイダ。
更に深呼吸を繰り返しながらアリシアに気合を込めるように叫んだかと思うと、俺の目の間でゆっくりとドアが開かれていく。
「どうし……っ!?」
「あ、あはは……ど、どう……かな?」
「…………っ」
ようやく姿を現した二人だが、アイダは恥ずかしそうに笑いながら俺を見つめていてアリシアの方は俯きながらチラチラと俺の顔へ視線を投げかけてくる。
そんな二人の顔はどちらも真っ赤で……いや普段より露出している肌もまた全体的に赤く火照っているように見えた。
(えっ!? な……何でっ!? どうしてマリア様みたいな格好をっ!?)
まるでマリアが着ていたような薄絹で身体の線が出るような衣装で身を包んでいる二人が、恥じらいを露わにしながらも俺を見つめてくる姿に心臓の鼓動が一気に高鳴っていく。
はっきりと身体の凹凸が表に出ているために、改めてアリシアのスタイルの良さがわかってしまい……だけど今までは彼女を汚したくない一心でそう言う目で見てこなかったために何か初めて突きつけられたような衝撃を感じてしまう。
それに対して隣に立つアイダはやはり全体的にスラリとしているが、それでも少女らしい身体つきが見えていて……これまでは安らぎを感じていた彼女の肢体が妙に魅力的に映り興奮を覚えてしまう。
だけど俺が一番目を奪われたのは恥じらいに染まりながらも健気に俺を見つめる……その顔に僅かに浮かんでいる微笑みだった。
「……」
言葉を発することも忘れて、二人の魅力的な姿に魅入ってしまう俺。
その視線に何を感じているのか、アイダもアリシアも身体を捩りこそすれど決して隠そうとしなかった。
「え、えへへ……ど、どうレイド?」
「あ……い、いやその……どう、と言われましても……」
『変? 私たちには似合わない?』
「い、いや……す、凄く魅力的だとは思うけど……あぁ……だけどやっぱり……」
二人の問いかけにようやく意識が現実に戻って来て、何とか返事をしようとする。
だけど少しでも気を抜くとすぐにでも目の前の光景に魅入ってしまいそうになる。
「だ、だけど……何?」
「あ……そ、その……要するに……えっと……」
『駄目か? やはり私みたいな女では重くて迷惑なだけ だけどアイダさんはどう?』
「い、いやそんなことないよぉっ!! む、むしろ僕がひんそーすぎて駄目なんだよ……だ、だけどアリシアさんはすっごく魅力的だよねぇレイド?」
上手く返事が出来ない俺を見てアリシアもアイダも、どこか申し訳なさそうな言葉を洩らす。
だけどそこでようやく俺は気づく……自分の愚かさに。
(そうか、アリシアがあの時頭を冷やして考えたいって言ったのはマリア様に言われた重くてきついって言葉を気にしてのことだったのか……)
前の彼女ならあの程度の言葉は一蹴しただろうが、考えてみればアリシアは未だに声が出せない程度には心が弱っているのだ。
そんなアリシアにとって……何もかも捨てて俺を追いかけてきてくれた彼女にとって、俺に嫌われないことは何よりも重要なことだったのだろう。
(俺を愛してくれているから恥ずかしさをも堪えて自分の趣味とはかけ離れてる格好までして……アイダはそんなアリシアを気遣って一緒の格好をしてくれたのか……それともひょっとしてアイダも俺のこと……どちらにしても二人をここまでさせたのは俺だ……)
幾ら教会の協力を得るためとはいえ、一番大切な二人を放っておいてマリアのご機嫌ばかり取っていた自分が恥ずかしくなる。
そして同時に……浅ましいことに、俺のために二人がここまでしてくれることに歓びを感じてしまう。
だからこそ、そんな愛おしい二人を俺は改めて見つめ直すと心の底から微笑みながら口を開く。
「……もう一度言うけど、二人とも凄く魅力的だ……アリシアは美人だしアイダは可愛いし……本当に見惚れそうなほど魅力的だよ」
「あ……っ」
「……っ」
「だけどそれは、そう言う格好をしているからじゃなくて……いやその恰好はそれでその、凄く刺激的というか意識しちゃうけど……俺は普段の二人が好きなんだ……重いとかきついとか全然思ってない……だから無理しないで欲しい……というか、その恰好のままでいると俺がドキドキしっぱなしで心臓が持たないからさ」
「「っ!?」」
思ったことをはっきりと告げると、二人はさらに顔を赤くして俺をじっと見つめ返してくる。
その瞳が少し潤んでいるように見えて……だけどそれ以上に口元が嬉しそうに緩んでいるのが目に移って……それもまた魅力的に映ってしまう。
(ああ……ヤバい……胸の鼓動が収まらない……)
気を抜いたら顔が吸い寄せられそうだと思った……留まれたのは、俺がヘタレだからか、或いは選べなかったからか……。
「れ、レイ……っ」
「……ぇ……っ」
「グッドモーニィイイイイングっ!!」
「「「「っ!!?」」」」
そこへすさまじく騒がしい声が聞こえてきて、反射的に俺たちは身体を離しながら入口の方へと視線を投げかけた。
「おおーっ!! 皆さん無事に戻ってらしたのですねぇええええっ!! お久しぶりでぇえええすぅっ!!」
「え、エメラさん……お、お久しぶりです……」
余りに急激な空気の変化に俺自身困惑というか妙に疲労を感じながら入ってきたエメラへと向き直る。
「ぬぅぅ……良いところであったのにぃ……」
逆にアンリなどは、何故か口惜しそうな表情でエメラを睨みつけていて……そこでようやくずっと彼女に見られていたことに気付いた。
(あ、危なかった……あのままだったら見られ……い、いや別に何をする気も無かったけどさ……)
何やら焦りを感じてしまう俺がチラリとアイダ達の方へ視線を投げかけようとしたが、既に二人の姿はそこになかった。
代わりにギルドの奥からバタバタと騒がしい音が聞こえる辺り、着替えに戻ったのだろう。
「はぁ……」
安堵したような、残念なような……不思議な気持ちで思わずため息を漏らしてしまう俺。
「どぉしましたレイドさぁあああんっ!? 何かありましたかぁあああっ!?」
「うむ、非常に惜しいところであった……実に口惜しい……」
「いや別に何もありませんって……」
「えぇ~? なにがどうしたんですかぁレイドさぁん?」
室内に入ってきて俺の傍に腰掛けたエメラの後ろから、フローラもまた興味深そうに顔を覗かせてくる。
「だから何もありませんって……フローラさんも居たんですね」
「さっきエメラさんと出会って一緒に来たんですよぉ……挨拶もしたんですけどねぇ……」
困ったように微笑みながら同じく俺の傍に座るフローラ……どうやらエメラのせいで完全に陰に隠れてしまっていたようだ。
「ひ、久しぶりだねぇエメラさん……今までどーしてたのぉ?」
『確かに私たちが戻ってきた時姿が見えなかったな? また何か情報でも集めていたのか?』
「もちろんでぇええええすっ!! 実はこの度マキナ……マキナたんはどこでちゅかぁああああっ!? マナたんもどこぉおおおですかぁああっ!? 私のプリティベイビィズっ!! エメラママがきちたよぉおおおおっ!!」
そこへいつも通りの格好に着替えて戻ってきた未だに顔の赤い二人が、自然な動作でカウンターを挟んだ俺の向かいに座りながらエメラへと話しかける。
途端に勢いよく返事をしようとして、そこでマキナとマナの姿がないことに気付いたようで大げさに騒ぎながら室内を見渡し始めた。
「あの二人はちょっと……その……お出かけ中といいますか……」
「はぅううううっ!? そ、そんなぁああああああっ!!」
「あ、あはは……あいかーらずだなぁエメラさんは……だけど確かに僕を保護してくれた人たちもこんな感じだったなぁ……」
「ふふ、それはすさまじいのぉ……ではマリア殿も小さい子供を見るとこうなるのかのぉ……」
ふと呟いたアンリの言葉に、あのマリアがエメラと同じテンションで子供に触れるところを想像しそうになってしまう。
(……うん、犯罪だ……下手しなくても犯罪だ……てか、あれ? ひょっとして町を一人で歩かせてるのってヤバいんじゃっ!?)
急に彼女を放置したことが恐ろしくなってくる……尤もあれでも教会のトップの座に就いている人なだけに、流石に問題は起こさないと信じたい。
「うぅん……考えるだけでも恐ろしい……」
「マリア……それは聖女をしているマリアさんのことでしょーか?」
「うん、そーだけど……エメラさん知ってるの?」
「当たり前ですよぉ……知らないわけがないじゃないですかぁ……」
その言葉に頷きながらもエメラは急に意気消沈したというか、珍しく歯切れ悪く呟いている。
しかしアリシアとアンリは、むしろ顔を突き出してエメラへと更に訊ねていく。
「そうか、同じエルフじゃったな……して、エメラ殿はどれぐらいマリア殿のことについて知っておるのだ?」
『面識はあるのか? 会話をした覚えは? ここ半年ほどであっているのなら話を聞かせてほしい』
「あー……そのちょーしでは何かあったみたいですがぁ……残念ながら最近のマリアさんには全然会う機会ありませんでしたからねぇ……」
「……その言い方ですと、あったこと自体はあるんですよね?」
「ええ……まぁ……そのぉ……同じ里の生まれですからぁ……そ、それが何か?」
俺たちの疑問に、やっぱり言いずらそうにしながら尋ね返してくるエメラ。
「実は今ね、マリアさんこの町に来てるの……だけどなんかよーすがおかしいなって……」
「ホワットっ!? ま、マリアさんがこの町にっ!? 何故っ!? ホワイっ!?」
「何でも魔物よけの祝福を強化しに来たらしいですよぉ……そのついでにちょっとレイドさんが頼み事して、だけど妙にベタベタしてるっていうか……里でもその、スキンシップが過剰な方だったりしたんですか?」
「い、いえそんな筈は……確かに誰にでも優しいお方でしたが……魔力の才能が無くて里でハブられていた私にも笑顔で接してくださるほどの……」
「あ……っ」
そう言ってため息をついたエメラは、まるで街に居た頃の俺によく似た顔をしていた。
何も言えなくなる俺たちだったが、むしろエメラはそこから堰を切ったかのように話し始めた。
「ええ……私はエルフでありながら魔法の才能がなく、もちろん身体も弱いため里では足手まといでした……表立って迫害されたりはしませんでしたが、それでも皆私を余りいい目では見ていませんでした……そんな私に優しく接してくださったのが時々里帰りしてくるマリアさんでした……」
「そんなことが……」
相槌を打った俺に、エメラはどこか嬉しそうに微笑みながら言葉を続けた。
「はい……マリアさんは私に里の外の話をたくさんしてくれました……特に魔力が全てではない社会について……実際に魔法が使えなくても活躍している人の話……それらを聞いて私は外の世界に憧れを抱くようになり……また実際に活躍しているマリアさんの後を追いかけるように里を出たのです……その後も大変でしたが、こうして何とか私は居場所を見つけることが出来ました……だから今の私があるのは全てマリアさんのおかげなのです……あの時マリアさんが私を導いてくれたから……」
「……マリアさんのこと、尊敬しているんですね?」
「ええ……世界で一番そんけいしておりまぁす……」
俺の言葉にはっきりと頷いて見せるエメラ。
(あの人が……だけどやっぱり話を聞く限り今の姿とはまるでイメージが重ならない……どうなってるんだろう?)
「そっかぁ……ちなみに最後に会ったのはいつなの?」
「私が白馬新聞社に入社して記者になったばかりの頃……忙しい中、お祝い代わりに時間を空けて取材を受けてくださって……あれで私は箔が付いてやりやすくなったのですが……それがつい、二十年ほど前の話ですねぇ……」
「に、二十っ!?」
ついこの間のことのように二十年という単語を繰り出したエメラに、少しだけ目を丸くしてしまう。
しかしエルフという種族は長寿だと聞くし、それぐらいは短い期間なのかもしれない。
「あ、あはは……それは何と言うか……それじゃあ参考にはなりませんよね?」
「確かになぁ……二十年もあれば性格もなにもかわっちゃいそーだしぃ……なんであんなふーになっちゃったんだろう?」
結局マリアの性格が変わった謎が解けなくて首をひねる俺たちを見て、エメラは少しだけ不安そうに呟いた。
「……そんなにマリアさんの様子は変なのですかぁ? 私が知る限りのあの人は、どの種族の誰があっても素敵な女性だという程度には……訂正しますぅ、ドワーフを除く誰もが素敵な女性だというぐらいには性格のできた方だったのですが……?」
「あ……やっぱりドワーフは駄目なんだ……というか小さい子供かぁ……」
「まあマリアさんも一人のエルフですからねぇ……先天的に魔力こそ強いですけど力も幾ら鍛えようと伸びしろがないぐらい弱いですし……」
「……それは本当ですか?」
そこでエメラの漏らした言葉を反射的に尋ね返してしまう。
(あの力は怪力なんてものじゃなかった……だけど鍛えようがないぐらい弱いってどういうことだ?)
「え、ええ……こればっかりはどーしようもないはずですよぉ……それが何か?」
「いや……実は……さっき俺でも抵抗できないぐらいの力で首根っこを掴まれて持ち上げられたんだが……」
「あ、あり得ませんよそんなことぉっ!!」
先ほどの出来事を説明すると、エメラははっきりと首を横に振って見せた
「いや、それが本当なんですよ……目撃者も沢山いますし……」
「い、いえあり得ませんっ!! だってマリアさんだってエルフなんですよぉおっ!! それにあの人は何があっても暴力行為を行える人じゃありませぇんっ!!」
「じゃあ、それはなんじゃ……つまりあのマリア殿は……偽物、だということかのぉ?」
「「「「っ!!?」」」」
アンリの言葉に衝撃を受ける俺たち……その脳裏には、隣国の件が思い浮かんでいた。
(ま、マリア殿が偽物っ!? 隣国でもアリシアの偽物騒動が起こってるのにっ!? これは何か関連があるのかっ!? それともただの偶然っ!? いやそもそもこの推測自体があってるかどうかも……っ!?)
「偽物……あっ!? あぁああああっ!!?」
「ど、どうしたのエメラさんっ!?」
更新が遅れ気味で済みません
次回からもう少し早く出来るように頑張ります