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新たな出会い……そして再会⑧

「れ、レイド……本当にもうだいじょーぶなのぉ?」

「ええ、丸一日休みましたから……ご心配をおかけしました……アイダ先輩……」

「そ、そう……ならいいけど……」


 宿の一角で心配そうに俺を見つめるアイダに何とか笑顔を向けるが、それでも彼女の表情が晴れることはなかった。

 何せ昨日は涙が枯れ果てるまで泣き喚いたのだ……赤く充血している瞳を始めとして、俺の体調は良くは見えないのだろう。


(だからっていつまでも泣きわめているわけにもいかないよなぁ……トルテさんとミーアさんの修行やフローラさんの依頼まで断って一日休んでしまったし……それも何の確証も無い想像で勝手に取り乱してだもんな……)


 一晩経ってようやく多少は頭が冷えたことで、あの時に受けた衝撃の殆どは俺が勝手に想像した内容に起因してるのだと気づけた。

 確かに俺は彼女に嫌われていた可能性は高いが、だからと言ってあの清廉潔白な性格の彼女が裏でそんな不義理な真似ができるとは到底思えなかったのだ。

 尤もあれほど長く共に居て嫌われてている事実にすら気づけなかった節穴の俺のことだから、彼女の性格をも見誤っているだけかもしれないけれど。


(はは……だから、もう考えても仕方ないだろ……俺は振られた、それだけがたった一つの事実じゃないか……それに裏の思惑があろうとなかろうと何も変わらないじゃないか……皆に迷惑をかけてまでいつまでも囚われているな俺……忘れろ……忘れるんだよっ!!)


 そう自分に言い聞かせるように心中で叫び続けるけれど、胸も心も息苦しいほどに痛みを感じていた。

 それでもこれ以上、周りの皆に迷惑や心配をかけたくないから必死で笑顔を浮かべるけれどやっぱりアイダの不安そうな視線が変わることはなかった。


「レイドぉ……やっぱり今日も休もうよぉ……無理しちゃ駄目だよぉ……」

「……大丈夫です、無理はしていませんから……それにむしろ部屋に籠ってるほうが余計なことを考えてしまうので、身体を動かしたいんですよ……だからそろそろ行きましょう」

「うぅ……はぁい……」


 俺の言葉にようやく頷いてくれたアイダと一緒に、無理やり詰め込んだ朝食の食器を片付けて宿を後にする。

 その際に宿屋の従業員や宿泊客、さらにはギルドへの道中ですれ違った町の人たちにも心配する声を掛けられてしまう。

 朝の掃除の際もそうだった……ここではファリス王国にいた時とは違い、誰もかれもが俺を気遣ってくれてる


(こんな居心地のいい場所にいて……皆から受け入れてもらえて……だからもうあんな場所のこと忘れようと思うのに……なのにどうして……)


 あの街のことは家族も含めて忘れかけているというのに、どうしても彼女の事だけが心の引っかかってそれに関連するように思い出されてしまう。

 だけどこればかりはどうしようもないのかもしれない……だって俺は本当に好きだった、愛していたのだから。


(本当に何で言ってくれなかったんだ……そんなに俺が物分かりが悪いと思っていたのか……それとも君の想いを無視してまで縋りつくと……周りの奴らが言っていたように俺が地位や身分を目当てにしていたとでも……だからそんな裏切るような真似を……ってまた勝手な妄想をして自分を苦しめてどうする……俺はただ振られただけ、嫌われていただけ……それだけじゃないか……)


「……ね、ねぇレイドぉ……レイドにとってその……んっ?」

「……ギルドの中が騒がしいですね……またエメラさんが来ているのでしょうか?」


 ふとアイダが俺に顔を向けて口を開きかけたところで、ちょうどギルドの入り口に付いた俺たちの耳に中から何やら言い争うような声が聞こえてきていた。

 その騒がしさからてっきりエメラ辺りが来て、ハイテンションで騒いでいるのかと思ったが何故かアイダが呆れたようにため息をついた。


「はぁ……またやってるんだあの二人ぃ……もぉ困ったもんだなぁ……」

「えっ? あの二人とは……」

「ああ、そっか……レイドは昨日すぐ宿屋に帰ったから知らないよね……多分マキナさんとマナさんが喧嘩してるんだよ」

「えぇっ!? そ、それはどういう……」

「まあみればわかるよ……はぁ……全く中身はどっちも良い齢した大人のくせにぃ……」


 ぶつぶつ文句を言いながらアイダが扉を開いて中に入って行って、俺も慌てて後を追いかけていく。


「……のだよっ!! 何度も言うけれど魔術師協会の理念は異常だっ!! 世の中には魔法を使えない人もいるというのに一部の才能のあるエリートだけを助長するような真似をしてどうするというのだっ!!」

「違うっ……魔法は努力すればほとんどの人が使えるようになる力っ……ちゃんと苦労して身に着けることで自らの力に自信と責任を持って使役できるようになるっ……錬金術師連盟の考えの方がずっと危険っ……努力も苦労もなく、子供でも大人と同じことができるようになる道具の開発して広めるなんて頭おかしいっ……いつか絶対大事故を起こすに決まってるっ……」

「違う違うっ!! 個人が身に着けた力の振るい方は結局その個人が決めてしまえるのだっ!! それに対して道具ならばセキュリティ機能を付けたり道具自体を固定配置することで安全な場所でしか使えなくもできるっ!! 大体貴様も今殆どの人だと言っただろうっ!! 中には使えない人だって出てくるし魔法の性能だって個々人の才能に任せきりだっ!! そんな偶発的な代物に頼った文明などいずれは崩壊する

っ!! 分かりやすいのがポーションという道具だっ!! 我々が開発して広めたからこそ今では回復魔法の使い手が居ない地方でも外傷の治療手段が増えて……」


 大げさに手振り身振りを交えながら熱弁するマキナとローブのフードを捲って似顔絵そっくりな顔を出した状態で語尾を強めて睨み返すマナが、カウンター越しに何やら激しく言い争っている。

 その近くには呆れたような、それでいて困ったような顔をして二人を眺めているいつもの面々の姿もある。


「はぁ……やっぱりまたやってたぁ……とりあえずおはよぉ……」

「お、おはようございます皆さん……」

「よぉレイド……もう大丈夫なのか?」

「昨日はどうしたんだよ……何がそんなに気に障ったんだ?」

「まあ、その色々ありまして……それよりもこれは一体どうなっているのでしょうか?」


 やはり皆が俺に心配するような気遣うような言葉をかけてくれるが、あえてはぐらかしつつこの現状について尋ね返す。


「いや、俺らもあんまりよくは知らねぇけど……何でも錬金術師連盟と魔術師協会って理念というか思想が対立してるらしくてなぁ……」

「昨日あんたのことで軽く騒ぎになった際にマキナ殿が様子見に顔を出して……それからずっとこんな調子なんだよ……」

「いくら止めても逆にヒートアップするだけなんだぁ……それに直接暴力を振るったりする訳でもないし、諦めて放置してるの……」

「そ、そうだったのですか……」


 皆の説明を受けた上で改めて、見た目もやり取りも子供にしか見えない二人の方へ意識を向けて発言に耳を傾けてみると、論点としては魔法という技術の活かし方が中心のようだった。


(ちゃんと努力して実力という形で魔法を身に着けて使えるようにすることで自らに自信を持てるようになりそれが新しい技術や魔法の発展につながるというマナさんに対して、万人が使えるように魔法の力を付加した道具を広めることで個々人の才能や良識に頼る発展ではなく平等で済みよい社会を作ろうというマキナ殿……うぅん、どっちも正しいような気もするけど……)


 恐らくマナの危惧は努力せずに誰でも簡単に魔法の力を扱えるようになることで、その力を行使する責任感が薄れて事故や犯罪に繋がりやすくなることだろう。

 逆にマキナとしては魔法という才能がなければ使えない力に社会として頼るようでは、才能の有無による格差が産まれて一部の人間の迫害やら不当な搾取をされる人が現れかねないことを危惧しているのだろう。


(個人的には……無能と蔑まれていた俺としては誰でも才能の差ではなくやる気の有無で評価されて社会の役に立てるようになるマキナ殿の主張も……実際に努力して魔法を使いこなせるようになって成果を上げたことで自分に自信を持てるようになってこの力を人々のために使いたいって思えるようになったからマナさんの主張も……やっぱりどっちも間違ってるとは思えないんだけどなぁ……)


 傍から聞いている分にはそう思うし、多分他の皆も似たような考えなのだろう。

 だからこうしてどっちにも口出しせずに静観しているようだ。

 俺もそれに倣ってあえて何も言わず近くに椅子に座ろうとしたところで、こちらの会話が聞こえていたのか二人が同時に振り返ってきた。


「おおっ!! レイド殿もこのわからずやに言ってやってくれっ!! 特薬草の納入をこなして誰でも使える道具の有用性を理解している君ならば私の言いたいことがわかるだろうっ!!」

「レイド、よく来たっ……この頭でっかちに言ってやってっ……努力して新しい魔法を開発したあなたなら分かるはずっ……」

「えっ!? えぇっ!?」


 そして二人は俺の方へ近づくと両手を取ってきて、まるで綱引きのように自分の方へと引っ張ろうとする。


「ちょ、ちょっと待ってくださいお二方っ!?」

「ええい、レイド殿から手を離すがいいっ!! 彼は私の理念を理解し協力してくれているパートナーのようなものなのだっ!!」

「違うっ……レイドは魔術師協会に所属したっ……こっちの味方っ……」

「ふんっ!! 前々から魔法を使えたレイド殿を今まで放置しておいて、新種の魔法を開発したという実績を知った途端に取り込みにかかったのだろうっ!! それまでは見向きもしなかったくせにっ!! こういう連中なのだぞレイド殿っ!! 悪いことは言わないから関わるなっ!! 何ならば私が錬金術師連盟に推挙してやってもいいぞっ!!」

「そっちこそ口では立派なことを言いながら色々出来るレイドの才能を目当てに来てるっ……人のこと言えないっ……こんな女の口車に載っちゃ駄目っ……」


 左右から叫ばれて力づくで引っ張られて、俺はどう反応していいか非常に困ってしまう。

 だから助けを求めるように仲間の方へと視線を投げかけるが、何故か皆微笑ましいものを見るような目で眺めてくる。

 見ようによっては意地を張る子供二人に縋りつかれているようなものだからだろうか……アイダも先ほどまでの心配そうな顔から一転してどこか安堵したような様子でいた。


「ふふ……レイドったら、相変わらず巻き込まれ気質っていうのかなぁ……」

「だけどまあ、あの困ったような面構えは……レイドらしいな……」

「全くだ……にひひ、こうなったらあたしも争奪戦に参加してもっと困らせて……」

「ハローーーっ!! グッドモーニングみなさぁああああんっ!!」


 そこへ新たな闖入者が現れた……物凄いハイテンションにドアの方を見なくてもエメラだと分かった。


「私の記事は見て頂けまし……ハワァっ!?」

「え……エルフだとっ!? 馬鹿なっ!! 何故こんなところにっ!?」

「う、嘘っ……何でエルフが……っ!?」


 この場に勢ぞろいした異種族三人が、互いを見つめて困惑したような声を洩らして固まる。


(そう言えばエメラさんってエルフだったんだ……じゃあ特徴の似てるマナさんも……だけどお人形さんのように切りそろえられた黒い髪の毛も肌の色もどちらかと言えば人間寄りだしなぁ……身分証が確かなら二人とも年齢は近いはずだけど体格も全然違うし……)


 尤もマナもまたローブの上からでも胸部の膨らみがわかる程度にはあるけれど、見た目の割には大きいレベルであってエメラに敵うほどではない。

 まして身長は比べ物にもならない……ただ一番目立っている独特な耳の形はそっくりなのだけれど、エメラを見てエルフが来たと驚愕の声を洩らしているところを見るとやはり別の種族なのかもしれない。


(というかなんでこんなに驚いてるんだろう……あんまり詳しくないけどエルフって異種族の間で嫌われてたりするのかな?)


 疑問に小首を傾げようとした俺だが、その前にエメラの恍惚とした声がギルド内に響き渡る。


「ハアァアアアアアアアアっ!! ぷ、ぷ、プリティベイビィイイイイイイイイイイっ!!」

「っ!?」


 余りの騒がしさに耳を塞ぎながらエメラの方を見ると、物凄く緩み切った表情で涎すら垂らしながらマキナとマナの方へとにじり寄ってきていた。


「ああっ!! くそっ!! やはりこうなるのかっ!!」

「もうヤダっ……どうしてエルフはっ……えいっ!!」


 二人とも慌てて距離を取りつつ、マナが気合を込めて呟くとエメラの身体に紫電が走った。


(こ、これは相手の身体を傷つけずに麻痺させる魔法(パラライズ)っ!? こんなノーモーションで放てるのかっ!!)


 魔術師協会のトップクラスであるマナの実力を見た俺は、状況も忘れて少しだけ興奮してしまう。

 しかし彼女たちはそれどころではないらしく、魔法の効果で身体が硬直して地面に倒れ伏したエメラからなお距離を取り続ける。


「お、おい誰かっ!! そこのロリコンを縛り上げてくれっ!!」

「早くっ……今すぐやってっ……エルフは無駄に魔法の才能あるから無効化されたら困るっ……」

「ハァハァハァっ!! どぉして抵抗するんですかぁああああっ!! 悪い子ですねぇベイビィちゃぁああああんっ!! だけどそう言うところもかわいいでぇえええすっ!! 大人しくお世話されなさぁああああいっ!!」

「えぇ……ど、どういうことなのこれぇ……?」


 地面に倒れ伏しながらも息も荒く幼い外見の二人を見つめて、興奮したように叫ぶエメラを見てドン引きした様子でアイダが疑問を口にする。

 それに対してどこからかロープを取り出してきたマキナが、俺に投げ渡しつつ嫌そうに説明を始めた。


「うぅん、言いずらいことだがエルフという種族はだねぇ……寿命のわりにすぐ肉体的に成熟してしまうのだ……」

「そう……その後はずっと寿命寸前まで肉体的な変化はほとんどしない……だから筋力とかつかなくて魔力以外伸びしろがない……逆に魔力は凄く伸びる……」

「しかしだからこそなのかな……ほんの僅かな幼子の時期は非常に脆くて弱々しいがために成熟した個体が過保護なまでに守る必要があるのだよ……」

「だから結果として……種族全体がロリコンでショタコン……見た目が小さい子に物凄く庇護欲を抱く……そして暴走する……」

「そう言うことだ……そのせいで私たちドワーフなどはどれだけ被害を被ったことか……手先の器用さを追い求めたためか幼体で固定されて成長しないからな……一体何人の仲間たちがエルフに見つかり攫われて……赤ちゃんにされていったことか……」


 先ほどまでの言い争いはどこへやら、急に意気投合したように代わる代わる説明をし始めたマキナとマナ。


「だってとてもキュートでプリティで魅力的なんですよぉおおっ!! 抱っこしてチュッチュしてオッパイ飲ませてベッドに寝かせて付けて危険な外なんか一歩も歩かせないで保護して可愛がってあげたいでぇええええすっ!!」

「えぇ……ひょ、ひょっとして僕も危なかったのかなぁ……うぅ……お、おっかないなぁ……」

「まあ一応、愛情からくる行為だから悪くはされない上にある程度相手をして落ち着いてくれば謝罪してきてこちらの意見も聞いてくれるようにはなるのだけれど……それまでに甘やかされ過ぎてその環境に幸せを感じてしまった者はもうそのまま生涯を赤ちゃんとして……」

「私はハーフエルフだったから……寿命はエルフ寄りだけど見た目の成長速度が物凄く遅くて……そのせいで里中のエルフから赤ちゃん扱いされて大変だった……良く逃げ出せたと思う……当時を思い出すと今でも震えがくる……」


 そう言って怯えたような表情で軽く身体を震わせる二人とアイダだが、気持ちは分からないでもない。


「あ、あはは……そ、そう言うことだったのですか……」

「そうなのでぇええすっ!! だから二人も私の胸に飛び込んできて下さぁああいっ!! いっぱいたっぷりと思う存分甘やかして差し上げ

まぁああすっ!!」

「ほら分かったら早くそいつを縛り上げてくれたまえっ!! 何をボケっとしているのだっ!!」

「縛りあげてその辺の柱に括り付けて置いてっ……早くっ……」

「えぇ……い、良いのかなぁ……み、ミーアさんお願いしてもいいですか?」


 何やら無抵抗の女性を縛り上げるのに物凄く抵抗があって……何より男がやると色々とアレな光景になりそうだったので俺は受け取ったロープをミーアへ手渡した。


「へーへー……たく、手間かけさせんなっての……」

「オオゥっ!! そんなせっしょーなぁっ!! 可愛い物を愛でようとして何が悪いのですかぁああああっ!! 離してくださぁああいっ!! ヘルプミィイイイっ!!」

「そんなこと言われましてもねぇ……」


 助けを求めるようにこちらを見つめるエメラだが、俺は何を行って良いかもわからなくてそっと視線を逸らすのだった。


「あ、あはは……はぁ……なんか僕疲れちゃったぁ……」

「そうですね……俺もなんか力が抜けてしまいましたよ……」

「……もっと早く会えたら俺もあの胸で包み込まれて……くぅ……」

「トルテさん……あなたあの二人の話聞いてましたか?」


 一人だけ悔しそうにしているトルテに呆れてしまいながらも、俺はこの騒がしさに少しだけ苦笑してしまうのだった。


(全くここはいつでも騒がしいなぁ……本当に、悩みが馬鹿馬鹿しくなるぐらい……ふふ……ああ、だからさっき皆は俺を見てあんな風に安堵したような顔を見せて……)


「失礼するぞっ!! ここにレイドと申す者はおるかっ!!」

「っ!?」


 そんなことを考えて少しだけ穏やかな心境になった俺の耳に、新たな侵入者の声が聞こえてきた。

 また余計な騒ぎになりそうでため息をつきたいような……もっと楽しくなるのではという思いも抱きつつ入口へ顔を向けた俺だがそんな考えはそこに立っている女性を見た途端に吹き飛んでしまう。


「え……お、王冠にその豪華な衣装……何よりそのお顔は……ま、まさかっ!?」

「おほほほほっ!! 分かっておるであろうがあえて言おうっ!! 妾こそルルク王国の第一王女、アンリ様であるっ!! 皆の者っ!! 跪かずともよいが盛大に称えるがよいっ!!」


 そう言って胸を張る十五歳ぐらいの少女は、綺麗な金髪の縦ロールの髪型やドレスが似合っていて、高貴さを感じる美貌の持ち主だった。


(お、王女様ぁっ!? こ、この国の王族が俺なんかに用って……ど、どうなってるのっ!?)


 今度という今度こそ、余りの衝撃に完全に悩みも何もかも吹き飛んでしまった俺は声を発することもできずにその少女を見つめ続けることしかできないのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 副会長は、エルフかと思ったらハーフエルフだったのか。 会長がエルフだから、ずっとそういう扱いを受け続けていたんだろうなあ。
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