三題噺第17弾「月」「コタツ」「危険な中学校」
ここ東京都には“危険な中学校”と呼ばれる中学校があった。
どう危険かというと、生徒が男子しかいなかった。
そういうだけだと、ただの男子校だと思われるだろう。やばいのは、先生も男性しかいなかった。
ここは男の巣窟だったのだ。
全校生徒600人。教諭数20人。むさ苦しい。
そこに一筋の希望が舞い降りた。
なんと、教育実習に女性が来ることになったのだ。
この男の巣窟に女性が一人やってくることになった日は、宴が催された。
紅一点のしかも美女とくれば話は別だったのかもしれないが、きたのは、美女とは正反対の女性だった。これには男たちはがっかり。夕刻には“月”が出て、「月がきれいですね」なんて言葉を言う人もいたとかいないとか。
冬の寒い中は“コタツ”が恋しくなる季節。
コタツの中で温まって、この苦境から逃れよう。
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