ありふれた長歌
かの心 知らればどれほど 簡単で 残酷か知る 雛鶏の
届かぬ向かいの 八重桜 君が心は 知らぬまま
ただ肌寒き 春風に か弱い翼は 羽ばたかず
落つる我が身は なごやかに 見えぬ谷間の 奥底に
君が心は どこへやら 春一番に 飛んでゆく
女心と 秋の空 落つる木の葉と 我が心
君が為にと 夢心地 我が身焦がれて 朽ちてゆく
飛び立つ古巣は もはや無く 桜の華は 次が為
我なぞ知らずに 消えてゆく
我が恋心 燃えて朽ち 果ててその身を 灰と化す
一人その身ぞ 燃え尽きて
肥やしとなりゆく 我が痛みかな