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37 八勇士のバイト その3

「金を出せ!」


「金を出しやがれ! おらおら!」


 はいはい、出します出します!

 だから、銃をこっちに向けないでいただけるとありがたい。

 当たらないのがわかっていても、怖いものはやはり怖いのである。


「ふん、こそ泥か」


 俺が生命の危機に瀕しているというのに、ジジイは全く興味がなさそうに鑑定石を眺め続けている。

 店主なんだから、少しぐらい従業員の事を心配しろよ!


「やい、ジジイ。さっさと金を出さねえと、こいつが死ぬぞ」


「やっちゃえ、(あに)さん! やっちゃえ!」


 ふっはっはと不敵に笑いながら、大男の方の強盗が覆面を脱いだ。


 あれ?


 どこかで見たことがある気がする顔だ。

 女の方は間違いなく知らないが、この男はどこかで……うーむ、どうも思い出せない。


「少し黙っていてくれ! わしは忙しいんじゃ!」


 さっきからドワーフのジジイは、この強盗どもをけしかけるようなセリフばかり放っている。

 火に油を注ぐとはまさにこのこと。

 もし俺に銃口が向けられていなければ、笑えたかもしれないが、男はトリガーを今にも引きそうな感じなので、まったくもって全然面白くない。


「ちっ」


 兄さんと呼ばれていた方の強盗が軽く舌を打つ。

 しつこく無視を決め込むジジイにいらいらしてきたのか、彼は銃の標的を俺からジジイへと移した。


 ほっ……。どうやら助かったみたいだ。

 今のうちに物陰に隠れておこう。


「やい、老いぼれ。この銃が目に入らないのかよ」


「目に入らないのかよ!」


 男の強盗に続いて、女の方も威勢よく怒鳴り始める。

 だが、彼らの脅しはジジイに――


「……」


 ――ガン無視された。

 これは恥ずかしい。


「兄さん、やっちまえ! やっちまえ!」


 あの女の方は、さっきから無駄に騒がしいな……。

 延々と兄さんを持ち上げる掛け声を放っている。


 兄さんの方も俺と同感だったのか、彼はどかんと拳骨を女の脳天に振り下ろした。


「お前はうるせーんだよ、ちょっと黙ってろ」


「へい……」


 さてと、やかましいのが黙ったので、彼らは気を取り直して――


「金を出せ!」


「金を出しやがれ! おらおら!」


「ふん、こそ泥か」


 あかん。無限ループしてる。


「ああ、もうやってられねぇ! こうなったら、全員撃ち殺してやる!」


「全員撃ち殺して……! 兄さん、全員ってあたいもっすか?」


「ああ! いい加減にその緩みきった大口を閉じねーと、お前もだよ!」


 さっきまで感じていた恐怖がすっと消え失せる。

 なんか、コントでもやっているようにしか見えなくなってきた。


「買い物をする気はないのじゃな……」


 鑑定石が机に置かれ、かたんと音が響く。

 そしてジジイはゆっくりと椅子の上に立ち上がった。


 隙間風に吹かれてゆらゆらと漂うヒゲ。

 薄ら寒い輝きを放つ眼球。

 キラリと光を反射する禍々しい頭部。


 間違いない。


 ――奴は()る気満々だ!


 強盗の兄さんも殺気を悟ったのか、彼はジジイに向かっていきなり先制攻撃をかましてきた。


「し、死ねー!」


 部屋中に轟く銃声。

 空気を切りながらジジイの額の真ん中へと、正確に向かった弾丸は――

 

「ブロック!」


 ――見えない壁に直撃し、空中で止まって、ぽとりと床に落ちた。


「お前の実力はその程度か。暇つぶしにもならんレベルじゃの。これ以上、戦いを長引かせるのも酷じゃし、一撃で決めるぞ」


 手と手を合わせてなんらかの呪文を念じ始めたジジイの周りを、虹色のオーラが漂い始める。


 俺はごくりと唾を飲み込む。

 とんでもなく圧倒的な威圧感だ。

 一体、どれほどの威力を持った大魔法が彼から放たれるのだろうか。


「させるか!」


 バギュン、バギュンと泥棒兄貴は次々と銃を発砲させるが、全ての弾丸は結界によって紙屑のごとく簡単に弾き返されてしまう。


「アブソリュート・フリーズ!」


 凄まじい冷気が瞬時に周囲を包み込んだ。

 ジジイが唱えたのは、名称からしておそらく氷魔法だ。

 魔法に詳しくないので、その響きから勝手に推測しているだけだが、かなりの上位魔法っぽい。

 

「あ、兄さん!」


 ジジイが放つ威厳に怯えた女はぴょんと飛び跳ねて、木を登っているコアラのような体制で兄さんの体に抱きついた。


「大丈夫だっつーの。毎回毎回、ビビんなよ……」


 余裕をこいた表情の兄さんは、懐からさっと怪しげな文字が書かれた御札を取り出す。

 すると、ゴーンと鐘を叩いたような音が鳴り響き、部屋の冷気は瞬時に消え去ってしまった。


「な、なんじゃと……。それは魔法封印札(マナ・バインド)。しかも、回数制限が無い高価な品。なぜ、こそ泥如きがそのような物を……」


 冷や汗を浮かべながら、大きく目を見開くジジイ。


「くっくっくっ、俺達は魔法屋専門の盗賊なんでね。対策はしっかりしちゃってんのよ。ちなみに、この札も盗品だからな」


 つまり、魔法対策は完璧ということか。

 まずいことになりそうだ。

<名前> ルネアの部族 セタニア

<種族> 人間

<年齢> 26歳

<身長> 183cm

<体重> 58kg

<BWH> 95|58|86


 ルネアの部族の長の一人娘。

 満月祭の夜に神の子供(モーラノイ)から子を授かる運命にあったが、フーンが儀式の途中で逃走してしまったため、それが叶うことはなかった。

 その後、儀式の失敗に責任を感じたセタニアは神の子供(モーラノイ)を探し出すために旅を始めた。

 旅の途中、色々な出来事の末、彼女は何故か八勇士に選ばれてしまい、現在に至る。


 能天気な性格をしており、基本的にストレスフリーな人。

 彼女は驚異のボンキュボン体系をしており、本人は自覚していないようだが、周りの男性の視線を常に自分へ釘付けにさせている。

 好きな物は食べ物全般。キラキラ光る物も好き。最近はケパスコも好きになったようだ。

 魔物がひしめく森の中で暮らしていたので、素手で凶悪な魔物と張り合えるほどの力を持っている。


<ステータス>

レベル :59

パワー :63

マインド:5

スピード:50

トーク :13

チャーム:21

マジック:2

ラック :12

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