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広異世界の小さな話  作者: 元田 幸介
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美意識の〇〇

 自慢になるが、私はそれなりに男子にモテる。

 だけどそれは顔が良いだけ……というわけじゃない。私は「美」を保つため、様々な努力をした。

 それはメイクや話し方(男に媚びを売る方法)はもちろん、付き合う友達も選んだ。


 より自分の「美」を引き立たせるため、性格こそ良いが、それ以外には特に褒めるところのない、はっきり言ってしまえば「ブス」な女の子と友達になった。

「その服超似合うー!」

「え、そ、そうかな……?」

 たまに一緒に買物に行く際、私はその子に「似合わない」服を勧めた。彼女は私の言葉を真に受けて、私の選んだ服を着た。当然、似合っていなかった。

 彼女と出歩くことは当然目立った。道行く人の視線に恥ずかしさを覚えたのは最初だけ。次第に私は謎の優越感に浸り始めていた。


 それ以外にも、私は様々な場面で彼女の「不美」を利用した。彼女は嫌がるような素振り(そもそもそこまでひどいことではないが)一切見せず、私の「引き立て役」になってくれた。


 その努力のかいあって、私は以前よりもさらに、男子たちに話しかけられることが多くなった。

 

「なあ、付き合っている人いるの?」

「好きな映画って何?」

「今度……一緒に出かけね?」


 イケメン男子たちは、顔を赤らめたりもじもじしたりしながら、私にそう訊いてくる。


「…………あはは、今度訊いておくね」


 だが、その「主語」は決して私ではなかった。


 心そのものは作ることができない。


 私は自ら考え出した「モテる方法」、いや「美」というものに対する感覚が、根本的に間違っていることに気づいた。


「わたしみたいなブスと友達でいてくれて、本当にありがとう!」



 彼女は、とても綺麗だった――。


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