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広異世界の小さな話  作者: 元田 幸介
92/100

「    」

 交通事故で十年間眠っていた……らしい。当時小学生だった俺はいつの間にかお酒が飲んでも罰せられない年齢になっていた。


 リハビリ、学校……今後について考えなきゃいけないことはいっぱいある。


「……うーん」


 その中で俺が最初にしたのは、「空白を埋める」ことだった。


 俺は一週間かけて使い方を覚えたスマホを使い、インターネットでここ十年の情報を集めだした。



「結婚したんだ……」

 アイドルと芸人。


「4まで出てるんだ」

 ゲームの進化。


「嘘……っ!」

 好きな俳優の死。


 数日かけて、俺はここ十年に起きた様々な出来事を知ることができた。どれもこれも、衝撃的なことばかりだった。

 

 今後も地道に情報を収集していけば、空白は埋められるだろう。俺は文明の発達(といっても十年前から大して変わっていないように思えるが)に感謝した。



 だが、それはあくまで「知識」に過ぎなかった。


「先生と結婚したの」

 クラスメイトの女子と先生。


「俺今さ、医大に通ってるんだ」

 掛け算もまともにできなかった男子。


「……亡くなったんだ」

 好きだった女の子の死。


 

 十年かけてできた、俺と周りの、「空白」は、一生かけても埋まりそうになかった――。


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