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広異世界の小さな話  作者: 元田 幸介
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体を売るやべー仕事

 ギャンブルで借金を作ってしまった俺は、やべーバイトに手を出すことにした。



 その仕事というのがまたやべー中でもさらにやべーやつで、俺の「体」を提供するものだった。


「よく来たわね」


 そして三日に一度の提供日。俺は依頼主の住む屋敷に来た。


「ああ、どうも……」


 寝不足で頭がくらくらする。俺は虚ろな眼で挨拶する。


「ちょっと、そんな状態でちゃんとヤれるの?」


「だ、大丈夫……ちゃんとできます」


 そう答えたが、実際限界だった。やはり徹夜で麻雀したあと、食事も取らずに来るべきではなかった。


「……ちょっと待ってなさい」


 依頼主はため息をつきながら、台所へ向かう。数十分後、依頼主は料理をお盆に乗せて戻ってきた。


「食べなさい」


「……引かれます?」


「本来なら無報酬でもいいくらいだけど……今回は特別よ。ほら、早く食べなさい」


 依頼主は息を荒げ、目を血走らせながら、急かす。こっちも限界のようだ。


「いただきます」


 俺は手を合わせ、依頼主の作った料理を食べ始める。にんにく、豚肉、ニラを絡めたパスタに、すっぽんジュース……分かりやすすぎる食べ物だった。


「ごちそうさまでした」


 ものの五分で食べ終える。元気が戻り始めた。


「それじゃ、始めるわよ」


 依頼主は服を脱ぎ始める。


「いや、ちょっと休憩してから……」


「ダメよ」


 ぺろりと舌なめずりする。俺は覚悟を決めた。


「それでは……いただきます」


 依頼主は蠱惑的な笑みを浮かべ、俺を食べ始めた。




「……ごちそうさま」


 元気が戻った体は、すぐにしなしなになった。


「それじゃ、またね」


 肌がツヤツヤとなった依頼主は、俺に報酬を渡す。俺はそれを受け取り、屋敷を出た。


「あーきつ……」


 一回するだけでこんなにもらえるなんて、かなり良い仕事だが、肉体的に限界が近づいていた。


「――頑張ろう」


 だが、これ以外に稼げる仕事も中々ない。俺はちゃんとした睡眠、食事を取り、有り余らせるぐらい、依頼主に血を用意することを決意した。

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