おしまいに姉妹ため
姉妹にも色々ある。それは俺の身近の姉妹もそうだった。
「運次第で勝てる勝負を、私は認めない」
アイスを賭けたジャンケン。負けた方はそう言った。
「運も実力の内だよおねーちゃん」
「詭弁ね」
「それはこっちのセリフ。負けたとたんにあれこれ言わないでほしいな〜」
「このーー!」
妹の態度に、姉の方は、血管がはちぎれんばかりに膨張する。
「おい、落ち着けって」
ここで俺はついに割り込んだ。二人の視線が俺に集まる。
「邪魔しないで」
「珍しく同意見だねおねーちゃん」
二人は再びにらみ合う。もう、俺が何を言っても届かないだろう。
「仲良くしろよ、姉妹だろ」
それでも俺は言わなければならなかった。
「妹じゃないわ」
とんでもないことを、言い出した。
「……ははっ、たしかにそうだね!」
妹も同調した。
「ちょっ、なんでいきなりそんなことを……」
気まずすぎる空気だった。
「ああ、誤解しないで、別に私は嫌いじゃないの、ちょっと生意気なところが気に入らないだけ」
「あたしも嫌いじゃないよー。ただ、好きな人が取られたのがムカつくだけ」
険悪な空気が、三度流れる。俺は胸に穴が空きそうだった。
「でも……『分かってくれた』ことに関しては、嬉しいんだ」
妹が小さな声で、恥ずかしそうにそう言った。
「……私も、何だかんだと言いながら、『協力してくれた』ことには感謝しているわ」
空気が、一変する。姉妹はふふっと笑い合った。
まったく、仲が良いんだか悪いんだか……。
これからまた何度もこのようなことがあるだろう。だが、悪い気はまったくしなかった。
「待ってろ」
喧嘩すればするほどとはいうが、しすぎも問題た。俺は財布を手にして立ち上がった。
「ありがとう。……愛しているわ」
「俺もだよ」
こっぱずかしいセリフを言い合って、俺は嫁のために、妹と同じアイスを買いに行くことにした。