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広異世界の小さな話  作者: 元田 幸介
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予報

 明日は雨だと言った。


 だけど僕は明日は晴れると思った。


 翌日、僕の予想通り、晴れだった。

 その次の日、天気予報は晴れだと言った。僕は雨だと知っていた。


 その通り、次の日は雨だった。


 科学技術によって、かなり正確に天気を予報することができる現代で、なぜこうも外すのか?

 理由は簡単。その天気予報は科学に頼ったものではなかったからだ。

「明日は雪だと思うなあ

 自称天気予報士、イサオは今が八月にも関わらず、そんな予報をした。

「絶対降らないよ」

 僕はイサオの予報を真っ向から否定した。

「もしも降ったらどうする?」

「雪だるまを作ってプレゼントするよ」

 僕はイサオに約束した。次の日、もちろん雪は降らなかった。

「明日こそ雪だと思うな」

「そうやって言い続けていれば、そりゃいつかは雪だって降るよ」

 僕はイサオのインチキ予報に辟易した。

「明日は雨かな」

 だけど、

「明日は……大雨かな」

 僕は次第に、

「明日も……大雨かな」

 イサオの予報が本当にインチキだということが分かった。

「イサオ、明日の天気は……?」

「大雨洪水警報、家で大人しくしていることがいいな」

 イサオの予報は当たらない。一度たりともだ。


 イサオが雨と言えば晴れ。晴れと言えば雨。イサオに自覚はないが、イサオの予報はあべこべの結果をもたらした。


 偶然も何百と続けば必然になる。僕は明日の天気に関しては、イサオを頼ることにした。

「イサオ、明日の天気は?」

 僕は運動会が中止になるかどうかイサオに尋ねた。するとイサオ、これまでは簡単に答えていたのに、今日に限っては急に悩んだ。

「イサオ?」

「ああ、悪い。明日は……超大雨だ」

「そっか……」

 残念だ。僕は覚悟を決めて運動会を頑張ることにした。


 でも、運動会は開催されなかった。


 オゾン層の破壊、隕石落下……様々な要因が重なり、僕たちの地球の温度は上昇した。



 水は枯渇し、電気製品にもトラブルが巻き起こる。


「イサオ、明日は『晴れる』かな……?」

 カラカラの喉で、僕は尋ねる。

「明日は……大雨だ」

 嘘でも晴れだと言ってほしかった。僕はイサオの口から「晴れ」という言葉が出てくるのを、ただ待った。


 でも、それは大きな間違いだった。


「雨、雨、雨」


イサオはずっと予報を外し続けた。


「もういいよ」


見ている内に、きつくなってきた。僕はイサオに予報をやめるよう言った。


それからしばらく経った。誰もが限界を迎える中、イサオにもそれは訪れた。



「明日は晴れかーー」


イサオがそう言ったのを、僕は聞き逃さなかった。


「あーちくしょっ……外したか」


 予報を外したにも関わらず、イサオはにこっと笑みを浮かべてそう言った。


 


 

  

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