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あい旅  作者: トシ
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ふたつの車輪がつなぐもの

これは、今から4年前の話である。


私、トシは、当時、青森の田舎町に住む高校三年生。SNSで知り合った、淡路島に住む高校一年生の女の子と交際していた。

距離にして1300帰路の遠距離であった。

私は就活シーズン真っ只中。周りでは進路選びや履歴書書きが始まり、バタバタしていた


そんな中、私は、校内の誰より早く進路を決め、面接練習も順調に進めていた。

部活は3年が始まってすぐに引退しており、特別急ぐ理由もなかった。


しかし、私には学生であるうちにどうしてもやりたかったことがあった。


これは、普通の高校生が、夏休みに「自転車で」遠距離の彼女に自転車で会いに行く話である。




夏休み前、親を説得し、旅をしたいと話していた。

幸いなことに、青森と淡路の中間地点である千葉に、姉と父が住んでいたため、快諾とは言わないが、許してくれた。


しかし、当時生活保護を受けていた私の家庭は、そんな旅なんかに使えるお金の余裕はなかった。

出発時点での手持ちの予算は6000円。当時の私には分かっていなかったが、かなり少ない予算であった。


旅を決意し、ついに旅の初日。

初めて旅をする私にとって、不安とワクワクが溢れ、眠れなかった。

早くに寝たがすぐに起きてしまい、元々予定してた時間より2時間早く出発した


旅に出て数時間。35度を超える気温の中、初めて体感する辛さに心折れつつも、お湯と化したドリンクを飲みつつ、進み続けた。


初日は、250キロの道のりを進み、夜をこす場所を探した。

予算が限りなく少ない私は、野宿と決めていたが、たくさんの無視や人の目など、初めてのことに心折れていた。

「もう250キロも進んでいる。今更後戻りするのはもったいないし、待ってる人がいる。」と、溢れ出る涙をなんとかおさえ、河川敷にて就寝した



2日目。河川敷で寝ていた私を、空から落ちる雨が起こした。


朝から予報ハズレの雨であった。

その時持っていたモバイルバッテリーは運悪く故障。スマホもカメラも、充電は空に近かった。


連絡手段のないまま、雨に打たれ走り出す。

顔に流れるその水は、雨なのか、涙なのかわからなかった。


100キロほど走り終えた時点で、雨が止んだ。

体力の消耗が激しく、ずっと雨に濡れた足は、ふやけて激痛が走るようになっていた。

早朝の出発に対し、時は既に夕方

かろうじて残っていた少ない電池残量のスマホに、姉から連絡が入った。

「ホテルをとったから、今夜はそこに止まってゆっくりしなさい」

チェックイン時間は連絡から二時間後。ホテルまでの距離は100キロほどあった。

消耗しきった体だったが、ひとつの目標ができたことで、なんとか走る気力を保てた


しかし、ホテルへ向かうまでに2度のパンク。

交換品は持ってきていたが、想定外のタイムロス。

そうこうしてるうちに、スマホの充電が切れた。

チェックインするホテルの名前をちゃんと覚えていない。しまった…

場所もわからない。

と、絶望していたところ、自転車乗りの方が、駅の近くまで案内してくれた。

駅の近くでは、部活終りの高校球児が一緒にホテルを探してくれた。


トラブル続きで、なんとかホテルへ到着。

チェックインしたのは、予定から5時間遅れの夜11時近くだった。

その日は、姉の助けのおかげでゆっくり休むことが出来た。


翌日。

田舎育ちで、都会での歩道駐輪禁止場所を知らず、あさ、ロックがかけられ、出発前に業者に持っていかれそうになっていた。

あと2分のところで間一髪間に合い、業者に説明してなんとか旅を継続することが出来た。


その日は、体力的に余裕があり、足が軽かった。


夜までなんとか200キロはしり、その日はコンビニの駐車場で仮眠をとった。

ホテル泊のあとの野宿はとても辛かった。


翌日、真夏であったが、気温は20度を下回り、今度は冷えが私の体力を奪った。


その日は、北関東まで走ることが出来、適当にまた野宿ポイントを探そうとしていた

しかし、姉が千葉から埼玉までなら迎えに来るという。


その時、栃木の小山にいた私は、嬉しさもありつつ、目標距離が伸びたことへの絶望感を感じていた。その時の時刻は23時を回っていた


姉が指定してきた場所は春日部駅


残り少ない充電のスマホを頼りに、春日部を目指した。


時刻は午前2時。ついに充電が切れた。

青看板を頼りに進むも、初めての関東の道に戸惑い、道に迷ってしまった。


しばらくさまよっていると、1人の女性が、誰かを待って立っていた。

僕はなんの躊躇もなく、その人に声をかけた。

その女性は、彼氏の迎えを待っていたらしく、しばらくした後、彼氏が車でやってきた。

その二人は、親切に道を教えて下さり、車で充電までしてくれた。

ドリンクをもらい、その車の先導で春日部駅へむかった。


その日は、とてもいい人に出会えてよかったと、心の底から感謝した。


その後姉と合流し、残念なことに初めてのラブホテルを姉と過ごす羽目になった。


格安で1晩をなんとか生き延び、その後は千葉の父の家にむかった。


そして、千葉で2~3日の長い休息をとるのであった。



2へ続く


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