05 騎士と討伐騎士
○騎士は官職名では無く、正確には特定の士族(役人)の官位に付随する称号だが、事実上の階級を作っていた。
・士族はこの騎士叙任を受けているか(お目見え以上)否かで、大きくその社会的立場が違う。
・騎士叙任は、誰が行ったかによって、騎士階級の中における立場が違う。
(叙任を受けた相手に直接会う事が出来る為。王に直接会う事が出来る者と違う者の差が大きい)
王族が叙任する場合は宮廷騎士・親衛騎士・勅任騎士(直参騎士)など。
貴族が叙任する場合は陪臣騎士。
○騎士は事実上の階級であり、準八位から正七位までの官位を持つ一定の階層を作っていた。
正7位 準爵と呼ばれる騎士の最上位。勲爵される予定を持つ者とされ、こう呼ばれた。
準7位 騎士長と呼ばれる、大抵の騎士の最上位。正7位に上がるには大きな壁があった。
正8位 正騎士と呼ばれ、この官位を持てるかどうかが、大きな差となった。
準8位 騎士身分での最低線。「じゅんぱち」と呼ばれ、正式な騎士と見なされない風潮があった。
・一般社会において、準8位の騎士は「寄騎様」と呼ばれて他の役人と明確に区別された。
(大抵の場合、平民が直接会う最高位の士族であった為に他の下級士族達と区別した)
○騎士に成る為には、親の官位がまず重要で、士族出身である事が最低限必要。
・騎士学校に入れる身分(親が準八位以上)で無い場合、現役騎士に奉公して従騎士に認定して貰う必要がある。
(暫定九位の身分が無い者は、まず従騎士認定(準九位以上)を受けねばならなかった)
○討伐騎士は通常の人間からかけ離れた力を持つ者で、7級討伐証をクリアしなければ成れない例外的存在。
(魔物に対抗する人類側の決戦兵器の様な扱い)
・魔物討伐で出る「賞金」は元々は王侯からの成果給であり、主を持つ騎士には請求権が無い。
・討伐士が討伐騎士に成る為には討伐騎士による「討伐従騎士」の任命が必須。
(何処そこの騎士が育てて任命した討伐騎士候補者が、何処そこの王侯貴族に承認されて推薦される形)
・討伐従騎士が討伐騎士に成るには、王侯貴族の推薦(承認)が必要(事実上の騎士叙任)。
・討伐騎士は正規の騎士身分を持つ者達からは嫉妬もあって「騎士もどき」と揶揄された。
(討伐騎士も、力を持たない称号だけの騎士に対してそう呼ぶ事が多い)
○討伐騎士は人類全体の守護者であり、その官職は魔物討伐とされた(旧聖王国の勅令)
・討伐騎士は誰が叙任しても「王家直参格」とされ、形式上は特別な立場を持つ。
・討伐従騎士は正式な官職では無いものの、官職を持つ者がその権限において任命するので公職扱い。
・臣下に用いる側には、魔物への抑止力以外にも様々な恩恵があった為、王や有力貴族は討伐騎士をこぞって育てようとした(騎士学校の討伐騎士課程など)。
○討伐騎士は個人の資格で放浪する者も多い。
・騎士学校の討伐騎士課程を出て推薦され、討伐騎士となった後、正式な騎士叙任を受けずに放浪する「自由騎士」と呼ばれる討伐騎士が横行した。
・正式な騎士叙任を受けた討伐騎士が主から離れて自由騎士(浪人)となる事も多かった。
※これらは各王侯貴族達が彼らを一時的に雇う事で急場を凌いだりする事が多かった為で、元々、ほとんどの王侯貴族が必要絶対数の討伐騎士を常時雇用する財力が無い事が原因。離れる事を認めなければ、逆も有り得なくなってしまうので。
・討伐騎士を指して口語でバッツと言うが、語源は不明。
・討伐従騎士をエスと呼ぶのはエスクワイア(従騎士)の略。
○討伐騎士の相当官位
特位 準5位 個別に称号が付く(準男爵)
1位 正6位 討伐騎士卿(騎士爵)
2位 準6位 〃
3位 正7位 〃 ※王族による協会への推薦が必要。
4級 準7位 討伐騎士
5級 正8位 〃
6級 準8位 〃 ※王侯貴族による協会への推薦が必要。
7級 正9位 討伐従騎士
8級 準9位 〃
9級 同等 〃
※あくまでも相当なので、元々高い官位や爵位を持っている人の場合は、当然そちらが優先されます。
※大抵の場合、金章に推挙されて通ると、推薦した王が当人の取込みを図って爵位も出した。