第四章 すれ違い(2)
「来週から、一緒に通えなくなるんだ」
久志の口から出た予期せぬ台詞に、萌子と薫は思わず顔を見合わせた。
あの日から十日近くが経とうとしていた。秋深まる、土曜日の放課後。
周囲の景色だけが移ろいゆく、そんな何の変化もない日々が続いていた。
いつかと同じように、ふくやま美術館と広島県立博物館の間に広がる緑の敷地を三人は歩いていた。時計は午後の1時を回り、下校する生徒の姿もまばらだ。
「小谷野先生に、三者面談の準備を頼まれていてね。月曜から早く行かなきゃならないんだ。帰りも判らないし」
萌子たちの不安を解くように、久志は小さく微笑んだ。
「あちゃ。そういや、もうそんな季節か」
薫はホッとした表情を浮かべ、それからいかにも『思い出しちまったぁ』というように、自分のおでこを軽くピシッと叩いた。それから、
「じゃあ、先生も面談やるの?」
そんな風に好奇心旺盛な目をしてみせた彼女に向かって、久志は穏やかな笑みを崩さずに、
「まさか。僕なんかが面談したら、お母さんが不安がっちゃうよ」
小谷野は萌子たち三組の担任だった。久志は確か三組・四組の副担任のはずだが、彼が福女に来て以来そういった『副担任』らしい仕事をしているところを見たことがなかった。
「資料作りを頼まれているんだ。飯塚先生からもね」
久志はそう言って、四組の担任の名前も挙げてみせた。
「そっか。三者面談って、来週からだっけ?」
「ああ」
「じゃあ、今月いっぱいくらいまで一緒に登校出来ないんだ」
「……そうだね」
薫にそう問われて、久志は何故か物憂げな顔つきで中途半端に頷いた。
朝は逢えなくても、放課後にはいつものように逢えるのだから。
淋しくない言い訳を頭の中で唱えながら、萌子はちょっぴり淋しい気分のまま薫を見やった。ほとんど同時にこちらを振り向いた薫と、一瞬視線が絡んだ。
ベッチャー祭りの翌日、薫は少し辛そうな顔で萌子たちの前に顔を出した。
『ホントに、大丈夫か?』
気遣わしげな久志に向かってただ微笑んだ彼女は、前日のことを問い尋ねるような素振りも見せなかった。
抜け駆けをしてしまった。そんな罪悪感に似た気持ちを、萌子は心の中で膨らませていた。それは自分勝手な妄想だと判っていたし、三人の距離が何か変わった訳ではなかったけれど、心に澱のように張りついたもやもやとした気持ちは、それからいつまでも離れようとしなかった。
「センセが一緒じゃないなら、しばらくそこら辺でオトコノコを引っ掛けて帰ろうかしら」
悪戯っぽく蠱惑的な笑みを浮かべてそんなことを嘯く薫に、久志は一瞬苦しげな表情を浮かべた。それから、周囲のざわめきに消え入りそうな小さな声で、
「あの、さ」
「ん?」
「この際、学校の行き帰りに一緒に通うの、辞めないか」
「え?」
萌子たちは虚を突かれたように久志に目を向けた。
「なんでよ」
いつになく棘のある口調で薫がそう詰め寄る。
「いや……」
後ろめたさを露わにして、久志はとっさに視線を逸らすと、
「やっぱり、まずいんじゃないかなって思ってね」
「何が?」
「……教師が、特定の教え子とばかり一緒にいるのは良くないかなって」
「……ふ〜ん」
薫が小馬鹿にしたようにそう鼻を鳴らした。
「先生も、やっぱただの先生なんだね」
「?」
『意味が判らなかった』という風に、久志は少し情けない曖昧な笑みを浮かべて、小首を傾げてみせた。
「世間体ばっかり気にしてるってこと」
「薫っ!」
辛辣な口調を咎めるように、萌子はそう口を挟んだ。
そんな風に見られる可能性を、萌子はちっとも考えていなかった。それはきっと久志のことを、無意識の内に他の教師と区別して見ていたせいなのだろう。『教師』という感覚で見ていなかった、と言った方が正しいのかもしれない。
『先生』と呼んでいたって、ホントは二人とも歳の離れた兄を慕うような気分だったのだ。
「誰かに、言われたの?」
そう問い返す傍らで、萌子はベッチャー祭りの光景を思い浮かべていた。もし、あの日のことを誰かに見られていたら……。
「いや、そんなことは……」
先生は嘘をつけない。一瞬視線を外した久志を見て、萌子は直感的にそう思った。面差しの硬さが、事実を如実に物語っている。
言い知れぬ不安が、不意に胸をかすめた。
初めて感じた『分かり合える』という感覚。それを根こそぎ奪われてしまうような、そんな悪夢に似た予感。
失いたくない。臆病な思いが、唐突に萌子の胸の中を駆け巡った。
「仕方ない、ですよね」
逢えなくなる訳じゃない。萌子はもう一度自分にそう言い訳をした。
「生徒と登下校するのも恐がってるようじゃ、休みの日にあたしたちと出掛けるなんてもっての他、よね?」
薫がそう久志を上目遣いで見上げた。その口調にはまだ棘がある。
「明日、誘おうかと思ってたのに」
「?」
「入舟町の『ドロス』で、パーティーがあるの」
「『ドロス』?」
「聞いたことない? ピザハウスなんだけど」
それは、福山の学生のあいだではちょっと有名な店だった。30人程度は入れるパーティールームがあり、福女の生徒も大会の打ち上げなどにしょっちゅう利用している。
「そこで、龍太たちのバンドの打ち上げパーティーがあるの。明日」
『監視役に、ついて来ます?』
いつもの薫なら、そんな軽口の一つも叩いただろう。けれども彼女は、恐いくらいの挑むようなまなざしを決して崩そうとはしなかった。
久志もまた、硬い表情を和らげようとはしなかった。
「どっちにしても、明日は用があるから」
「あら」
薫は嫌みったらしく大げさに驚いた仕草をみせると、
「休みの日は、断らなくったっていつも暇なんじゃなかったっけ?」
薫のそんな揶揄にも、久志は苦笑いを浮かべるだけでまともに取り合おうとはしなかった。
「東京?」
萌子は思わず素っ頓狂な声でそう問い返した。
「うん」
龍太はそう深く頷いて、聞き覚えのある大学の名前を一つ二つ口にしてみせた。
パーティーはもう佳境に入ろうとしていた。熱気に火照った体を冷ますように三人は部屋を抜け出して、宵闇の街角で風に身を委ねていた。
酒に酔った訳ではない。未成年はアルコール厳禁の、いたって生真面目なパーティーだった。
バンドを支えてくれている人たちへ、感謝の気持ちを込めたパーティー。
龍太のその言葉の通りに、参加した面子はライブでいつも顔を合わせる同世代の少年少女たちばかりだった。
「……このままじゃ高校卒業したってすぐにプロでやれる訳じゃないしさ。でもせっかくだからもう少し夢を追っかけてみたいし。親もうるさいから、大学に進んでバンド続けて行こうと思ってるんだ」
そんな20人近い参加者の中で、何人かその場にそぐわない年嵩の行った男性がいた。それが、龍太たちに目を掛けてくれているプロデューサーだった。彼らの正体を知った瞬間、萌子は龍太がいつの間にか自分たちと違う世界にいることに気づかされた。
「親の金でやりたいことやる時間を作れるんだからね。こいつを利用しない手はない」
そう言って龍太は、彼らしい華やいだ笑顔を浮かべた。
「……で、東京なの?」
微かに擦れたような声で、萌子はそう問い尋ねた。その傍らで、薫が不自然な笑みを浮かべている。薫は知っていたんだ。瞬間的に萌子はそう悟った。
「で、東京なんだ。ま、それなりに野望もあるからね。別に東京に出たからってデビューの道が開けるとか、世の中そんなに甘いもんじゃないってのは良く判ってるんだけど。でも、東京にいればデビューのチャンスは必ずやって来るって、そう言ってくれる人もいるし」
東京に出る。それは結構ショックな響きだった。
萌子の学校も一応は進学校だから、彼女の周りでもそろそろ受験話が飛び交っている。萌子にはとても考えが及ばないことだが、大阪の大学を受ける娘も何人かいることだろう。
けれども東京の大学を受ける、という話は聞いたことがなかった。
龍太の高校も萌子たちとさほどレベルが変わる訳ではない。男の子ならば、東京の大学を視野に入れてもおかしくないのかもしれないが……。
「萌子はどうなんだ?」
「え?」
ぼんやりとそんなことを考えていた萌子は、不意に質問の矛先を向けられてうろたえたように龍太を見つめた。
「どこの大学を受けるとか、決めてるのか? やっぱり美術系?」
そう問われて、萌子は力無く首を振った。
絵を描くことに対する情熱が、自分自身どれくらいあるのか良く判らない。それが、萌子が将来に対する希望を描けない、一番の理由なのかもしれなかった。
むろん母の職業に対する憧れはある。それは、高校に入ってからますます強く惹かれるようになった。けれどもそんな思いに反発するように、実際のところ萌子は久志が赴任して来るまで、むしろ部活動とは距離を置いていたのである。
自分の実力を図ることもせずに、どこか諦観した気持ちを抱いているのも確かだった。理想の高さと自分が感じている実力とのギャップに、いつしか萌子は何となく絵を描くことそのものが億劫になってしまっていた。
「私の実力じゃ美大を受けるのはちょっとね。普通に大学に行って、サークルか何かで続けるとは思うけど」
そう自嘲するように、萌子は首を軽く横に振った。
「そっか……」
龍太はそう声を落として頷いた後で、薫のほうを向いて、
「薫は大阪の大学、か」
「え?」
「やだなぁ。まだそんなこと決めてないわよ」
驚いたように萌子が視線を向けると、薫は照れたようにそう笑った。
そんなの聞いてない。龍太の告白以上にショックを受けて、萌子は恨めしそうに薫を見つめた。
でも、考えてみればそれはとても自然な成り行きなのかもしれなかった。中堅校といえども、福女でトップクラスの成績を上げるということは生半可な出来ではない。確かに彼女ならば、その辺の国公立くらい現役で軽くクリア出来るだろう。
みんないつかは離れ離れになってしまうんだ。そんなことは前から判っていたつもりなのに、現実が姿を現すと途端に萌子は臆病なウサギみたいな気分になった。
「……そっか。寂しくなっちゃうね」
萌子がぽつんとそう呟くと、薫と龍太は思わず顔を見合わせた。
「いや、でも、休みになればこっちに帰って来るし、こっちでもまたライブをやるだろうから……」
ずっと離れる訳じゃない。龍太はそう言い訳めいた台詞を吐いた。
もしかしたら、これが最後なのかもしれない。ふと、そんな漠然とした予感が萌子の胸を捕らえた。こんな風に、過ぎていく光景の全てが愉快で美しい時間は。
「そうよ。それに、龍太が東京の大学に受かるとは限らないし、むしろ可能性低いんじゃない?」
相変わらず辛辣な台詞を並べた後で、薫はちょっと意味深な口調で、
「それだったら、あたしだって東京の大学、受けちゃうかもよ」
「……」
「さて、と」
黙り込んだ幼馴染を尻目に、薫は何食わぬ顔をして、
「そろそろ、箱入り娘を送っていかなきゃね」
もう時刻は11時を回ろうとしていた。賑わう歓楽街にも、微かに深夜の匂いが漂い始めている。
「荷物、取って来るよ」
そう踵を返しかけた龍太を薫は手で制して、
「いいわよ。あたしが取って来る」
「薫……」
「二人で、しばしご歓談を」
やけに愛想良く笑顔を振り撒くと、薫はそれこそスキップでもし兼ねない勢いで店の中へと戻って行った。
ご歓談を、と言われたって何を話していいのかちっとも思いつかなかった。だいたい龍太と二人きりになるなんて、あまり経験のない出来事だったのだ。
「……決めたの?」
「え?」
思いついたのは、結局この話題だった。
「東京、行くこと」
「……ああ」
(薫はどうするの?)
本当に訊きたかったのは、口に出来なかったその言葉だった。
龍太の薫への気持ちは、単なる勘違いなのだろうか。それとも、諦めるために福山を離れるつもりなのだろうか。
「萌子は、さ」
視線を伏せたまま、龍太はわずかなためらいを含ませてこう尋ねた。
「東京に、出る気とかはないの?」
「私が?」
不意を突かれたように目を丸くして、それから萌子はくすくすと笑い出した。
「……笑い事じゃないんだけどなぁ」
「だって、お母さんが許してくれるはずないじゃない。せいぜい行けるとしても広島か岡山の大学よ」
不満げな顔の龍太を横目で笑いながら、けれどもその時萌子は全く別の思考に行き当たっていた。
『もしかしたらさ、春にはここにいないかもしれないから』
もし萌子が東京の大学を受けるとしても、彼女が上京するのは再来年の春の話になる。来春、久志が尾道を去るとして、2年後の春に彼は東京にいるだろうか。
そこまで想像を巡らせてから、萌子は急に自分のことが可笑しくなった。
(私はいったい、何を望んでいるというのだろう)
これから久志とどうなりたいのか、彼女自身よく判っていなかった。例えば想いを告げるとか、そんなことは不思議と頭に浮かばなかった。
その想いは、恋愛感情というよりむしろ『盟友』に対する気持ちに近いものなのかもしれなかった。今の萌子には、久志とこの先『特別な関係』になるということは、想像し難いものだった。
あるいは、もうすでに二人の立場は特別なものなのだと、彼女の中ではそう思いたがっていたのかもしれない。
(春になったら、彼は私の視界から消え去ってしまうかもしれない。その時に、その時までに私は何を望むのだろう……)
「お待たせ」
胸の内に湧いた問い掛けに答えあぐねていると、じきに薫が店から姿を現した。
「さ、行きましょ。お嬢様」
薫は偉ぶってそんなことを言っているが、本当は逆だった。母子家庭の澤崎家は娘の行動に割とルーズだったが、水谷家は一人娘を腫れ物みたいに扱う。特に彼女の父は、娘を溺愛していた。
その娘が『慈善事業』しているなんて、口が裂けても言えない。そう思って萌子は可笑しくなった。玲子ですら許してくれそうにないのだ。あの親では、東京はおろか大阪の大学だって許してくれないのではないだろうか。
「ごめんな、送っていけなくて」
「当たり前じゃない」
申し訳なさそうな表情を浮かべた龍太に向かって、薫は『当然でしょ』というような顔をした。
「ほら、主役はさっさと戻った戻った。みんな探してたわよ」
「うん……」
龍太はそう力なく頷くと、
「しばらく、逢えないな」
「え?」
「バンドも、しばらく活動休止なんだ」
「……」
「受験、備えなきゃ」
「あ、そうか」
「まったく、信じられないよ」
元気を空回りさせるように、龍太はわざとらしく笑って、
「この俺様が予備校通いだぜ? 今の学校だって、サイコロ転がして受かったっていうのに」
龍太はそう戯けてみせたが、実際のところ彼は小学生の時から学年で五指に入る秀才だった。
「ま、また遊ぼうぜ。あ、そうだ」
と言って龍太は、急に明るい顔になって、
「クリスマス、またやるんだろ?」
「……うん」
水谷家が隣に引っ越して来てから、毎年交互にどちらかの家でクリスマス・イブにパーティーをやるのが、水谷家と澤崎家の恒例行事となっていた。去年は薫の家で、龍太も招いて行った。彼の即興ライブが、とても好評だった。
「じゃ、その時な」
龍太はそう言って、さっぱりとした顔つきで笑ってみせた。
別れ際に龍太は、女の子だけで歩くには少し危険な、いかがわしい路地を教えてくれた。
「少し遠回りだけど、大通りを歩いたほうがいい」
ところが薫は、そのいかがわしい界隈へ足を向けようとした。
「大丈夫よ。別に暗がりを歩く訳じゃないんだし」
「でも……」
その先は。そう言いさして、萌子は言葉を飲み込んだ。
たとえ行ったことがなくても、その先に何があるのかぐらい萌子にだって判っていた。
「この先に駅への近道があるの。何回も来たことがあるから、間違いないわ」
(そっか……)
何回も来たことがあるのか。とても平静な気持ちで、萌子はその台詞を受け止めた。
薫がしょっちゅう連れ添う男性を換えていることは、いわば公然の秘密だった。けれども萌子はその内の誰一人として『彼氏』として紹介されたことはない。薫の口から『彼氏がいる』と聞かされたのも、中学1年生の時ただ一度きりだった。
彼女の中で、それ以外の関係はきっと恋ではないのだろう。たとえそれが、こんな場所を訪れる間柄であっても。
艶やかなネオン街を抜けると、辺りは忍ぶように急に薄暗くなった。各々の入り口を照らす暖色系の明かりと、料金が表示されたパネルの白い明かりが、仄かに二人を包み込む。
その通りは、福山でも特にラブホテルが密集した一角だった。
その仄暗さのせいか、それともすれ違う男女の意味を意識したせいなのか。萌子は妙にドキドキしていた。それはまるで、幼い頃に廃屋で遊んだ時のような不安定な気持ちだった。
前を行く薫は、すっかり手馴れた様子で歩みを速めている。遅れまいとして、萌子もつい歩調を速めた。
「……きゃっ」
いきなり足を止めた薫の背中に、萌子はしたたかおでこをぶつけた。
「ちょっと! どうしたの?」
「……萌子、あれっ!」
小さくヒステリックな声で、薫がそう呼んだ。
「え?」
薫が指差す道路の対岸が、萌子は初めの内よく見えなかった。
何も変わったところなどない。この通りではごく当たり前なカップルが、一組歩いているだけだ。手を繋ぐ訳でもなく、むしろ少し離れぎみに歩いているところが、変わったところといえば変わったところだろうか。
対岸の二人が、仄かに明るい一角にさしかかる。見覚えのある横顔が光の中に浮かんだ。
「あれ、立花ちゃんと黒沢だよ」
気付いた瞬間から、心臓がしゃっくりしているみたいにドクドクと蠢き始めていた。気色の悪い緊迫感が体を包み込む。
(どうして……)
混乱しかけた萌子の頭に追い討ちを掛けるように、薫の声が直接響いた。
「今、ホテルから出て来たみたいに見えた」
この通りを歩く、男と女の意味。ただの通りすがりでもなく、抜け道を急いでいる訳でもない。それに今、確かに薫はこう言った。『ホテルから出て来たみたい』と。
血の気が引いたように手足が冷たかった。鏡を見なくとも、顔が青ざめていることは自分でも気づいていた。呼吸の仕方を忘れたように息が詰まる。胸が苦しい。
二人の姿が通りの向こうに消えるまで、萌子も薫も呻き声一つ立てることなくただ立ち尽くしていた。頭の中がまっさらになるのを感じながら萌子は、
(夢なら覚めて欲しい)
知らず知らずの内にそう祈り続けていた。