第二章 それは訓練なのか?(2)
3月17日(火) 修正
二〇六五年五月十二日 UTC(協定世界時) 十七時
アメリカ合衆国 ホワイトハウス大統領執務室
「それは確かな情報なのか? ブル長官」
レックス・ルイス・ホルボーン米大統領は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「CIAとも確認しましたが、確認済みです。日本は新型の宇宙艦を建造しています。詳細はまだ分かりませんが、現在の『あまぎ型』より高性能なのは間違いないでしょう」
大統領執務室で国防総省長官デーヴィッド・シミオン・ブルより日本の新型宇宙艦について報告を受けている。
「大統領、我々の設備では現在の艦艇保有数が限界です。日本は艦を直接月面に着陸させない事により、我々よりも安価に製造が可能ですし、何より彼らは独自のドッグ船すらすでに一隻、就航準備中が一隻、建造中が二隻あります。重力下での運用を考慮しないで済む分、彼らの建造が早くなるのは仕方がないかと」
「それは分かるが……。だが我々も着陸装備を外した物を設計出来ないのか?」
「出来なくはありませんが」
「何だ?」
「日本のような軍用の専用港を持つステーションを持っておりません。我々のステーションは軍民共用です。この前の軍事予算圧縮で、真っ先に削られたのが宇宙予算でしたので」
こんな時に議会の連中はと思ってしまった。我々が日本の後塵を拝するなどあってはならないのだ。
「とにかくだ。どこからか予算と人員を集められるか至急検討してくれ。あの情報は日本だけが持っている訳ではないのだ」
ホルボーン米大統領はそう指示すると、電話を取りCIAへ電話を始めた。
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