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「本当に良いのか?翔馬」
真人は心配そうに聞く。
「大丈夫だよ!ボールもそんなに遠くに行ってる事はないと思うし、すぐにとって帰ってくれば大丈夫だよ!」
「悪いな、俺が蹴ったボールなのに」
「良いよ良いよ!じゃあ取ってくるから!」
翔馬が元気良く林の中に入ろうとしたその時、1人の少年が翔馬を呼び止めた。
「ちょっと待って!僕、気になる事があるんだ!」
「久男、お茶じゃ」
「あぁ、ありがとう」
久男は、翔馬が遊びに行ってからずっと考えていた。
これから翔馬は霊能力者として生きていかなければならない。
その為には霊能力を正しく扱うための修業や試練を乗り越えなければならない。
決してそれは簡単なものではないし、ましてやまだ六歳だ。耐えられるとは思えない。
そして霊能力者であるということは普通とは違うと言う事だ。翔馬には普通の人生を送って欲しかった。
(ワシは翔馬に、言えるのだろうか)
「久男、考えすぎじゃよ」
悩む久男に声が掛けられた。
「……」
「お前はいつもそうじゃな、1人で大事な事を抱え込んで1人で解決しようとする。 それではお前が潰れてしまうぞ」
二人は長い付き合いだ。霊能力者という共通点以外でも、今までいろんな事をしてきた。 二人には腐れ縁とも呼べるものがあるのだ。
「お前とは中学校からの縁じゃ、お前の事はよく分かっとる。」
「わしがおるんじゃから、わしを頼れ。お前が苦しんでる時はわしが一緒に苦しんでやる」
「翔馬は可愛いな」
「翔馬が苦しんでる時は、わしらが支えてやったら良いじゃないか」
縁側に置かれたお茶には茶柱が立っていた。
「お化け~?」
「そ、そうだよ!その林の中にはお化けが出るんだよ!」
少年の気になっていた事、それは林の中にお化けが出るということだった。
「僕お兄ちゃんに聞いたんだ!この林の中にふざけて入ったらお化けが出たって!」
「でもそれって聞いただけだろ~?よっちゃんが実際に見たわけじゃないんだし」
真人はこう言ったもののお化けが嫌いだ。 強がっているものの、顔が引きつっているのがよく分かる。
「大丈夫だよ。まだお昼だし、それにボール見つけたらすぐ帰ってくるから」
そう言うと翔馬は林の中に入って行ってしまった。
「行っちゃった……。」
「ま、大丈夫だよ。ボールが見つかるまで他のことしとこうぜ!」
「賛成ー!」
「ボールどこだ~?」
翔馬は林の中でボールを探していた。
「そんなに遠くには言ってないはず~」
「あっ!あった!」
林の奥にボールが転がっている。
思ったよりも遠くに行ってしまっていたらしく、探すのに時間がかかってしまった。
(早くボール持って戻ろう)
そう思いボールを拾い上げた時、『それ』は現れた。
「あれ?」
「さっきまでこんなのあったっけ?」
そこに現れたのは10mはありそうな巨大な鳥居と、果てしなく続く長い階段だった。