リム、に任せちゃう(えらそうに)!!
「あなたがソーニャさん?」
「……なんですかリムさん」
「一緒に来てくれないかしら? これからリカと一緒にお食事しながら、少し話したいわ」
「リカと一緒なら、私は行かない方がいいと思います」
「あら、どうして? “パンパヤーナ”はキライ?」
「……どうして“パンパヤーナ”なんですか」
「あなたの大好物と聞いたけれど。もしかして、飽きちゃったとか? じゃあ別の店にしましょうか。ソーニャは、なにが食べたい?」
「なにも食べたくありません。今はオナカが空いてませんから」
「甘いデザートは? ホカホカの揚げたて“チョコレート・チュロス”とかどう? それとも冷たい“パフェ”?」
「いりません。食べたくありません。デザートなんて子供っぽいし」
「まさか。私は食べたいわ。いつも甘いモノは欠かせない。ライブの前と後って、すごく疲れるの。糖分を補給しないと、もう絶対ダメ。行きましょうソーニャ。リカと一緒だと、きっと楽しいわ」
「……リカ。またリカ」
「くだらないことばっかり言うから、頭にくる時もあるけどね」
「いつからリムさんは、リカを知ってるんですか」
「アイツが【貧民地区・二番街】でドロボウしてた頃から。それがもう、ね! すばしっこくて、誰にもゼッタイ捕まらないの、キモチイイくらいに! “最悪のワルガキ”だったんだから! ……そうね、長い付き合いね。二十年と――ふふ。少しかな。歳が分かっちゃうか」
「リムさんはキレイです。私が出会った誰より美人です。シエラザードさんよりも」
「ええッ、シエラ? そんなの言い過ぎ! あのオネエさんは、誰も逆らっちゃいけないの。すごく面倒見のイイ人だから、そッちの方がなにかと便利なの。……私もリカもシエラも、思えば長い付き合いになるわ。シエラが一番はやく【貧民地区・二番街】を出て行った。私が二番で、そしてアイツは……まだ出られないでしょ? 今度“その理由”を聞いてごらんなさい。すごく笑えるから」
「ホント、羨ましいって思います」
「羨ましい? まさかとは思うけど、【貧民地区・二番街】に住みたくなった?」
「……そうじゃなくて。どうして私って“子供”なんだろうって。どうしてもっとはやく“大人”になれないんだろうって。リムさんみたいな“大人の女性”に、はやくなりたい」
「好きな人が居るのね、ソーニャ」
「え?」
「男は、本当に好きなモノのために“子供”になる。でも女は違う。本当に好きなモノのために、女は“大人”になろうとするのよ。きっとそう。いつまでも子供なのよ男って。夢中になると、もう見向きもしない。これは私の経験から導き出した、男女の価値観の違いってヤツ……まあ、そんなに生きてませんけどね」
「リムさんは、いつ“大人”になったんですか?」
「そうねえ……十三? じゃ……なかったかしら」
「そ、それはッ、どどッ、どうやって分かったんですか!」
「誰にもナイショにしておきたい秘密の過去なんだけど……どうしても、どうしてもソーニャは聞きたい?」
「聞きたいです、お願いします!」
「じゃあ〈車〉に乗ってね、ソーニャ。さて、お店はどうしようかな? ――ああッ! ……なーんか、またムカついてきた。思いっきり甘いヤツにしよう。“アイツ”が絶対に食べられそうにないヤツ。甘ったるい匂いがダメなんだって。それから“アイツ”が一番キライなものは、『ココア』よ。“ホットココア”が食後にサービスされる店ってあったかしら」




