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サンドロック  作者: 中田 春
灰色のシンデレラ
58/115

リカ、あ(フヒヒ。さて…いくらになるかな※極悪)!!!!


「ハイハイッどいたどいたァ! そこに居ると、あんたも踏み潰しちゃうよ! チシャ、オモチャを片づけなさい。ココに“アレ”が来るまでに、ぜーーーーんぶ片づけないと、跡形もなく壊しちゃうよ。そうなったらチシャはイヤでしょ? じゃあ、どうすればイイ?」



 明るいブロンドの髪を肩口まで伸ばした子供は小さな瞳を丸くすると、

 そこら中に散らばっているオモチャの人形を大慌てで掻き集める。


「ルチ」


 まったく同じ顔をした、ふたりの幼い少女が

 まったく変わらない表情でルチを見上げている。

 片方が話し、もう片方は常に黙って聞いている。



「ロープがたくさん落ちてきたよ。準備オッケーだよ」

「よーし。ミラ、ララ、あんたたちも、散らばってる道具を残らず片づけな。とにかく“大きい”からね。潰されたくないモノは奥へ持っていくんだ」



 そして、ようやくホッとしたのも束の間、

 突然ルチは「あーーーッ、発電機ィ」と

 思い出したように大声で叫ぶ。

 すると一目散に彼女は離れていった。


「なんだか……不思議です」


 ソーニャがつぶやく。

 黒髪の美少女は俺を見上げて言った。


「どうなることかと思いましたが、ルチも皆も最終的には賛成してくれて、進んで手伝ってくれている」



 ゴロゴロと坑内に轟く不気味な駆動音が

 『怪物の洞穴』のある方角から、こちらへ向かって徐々に近づいてくる。



「ああああッ! ちょっとちょっと、ストップストップ! ――ゴラア! そこに置いてある小型の発電機が、テメエらには見えねえのかッ。ソレ踏んづけたら弁償だかんね。シュウ、あんたはタダくっ付いて引っ張るだけか! 脳ミソは食用イモムシかお前は! この役立たず!」



 ルチの声だ。

 シュウ、って少年は散々だな。



「それになんだか……すごく楽しそう」

「呼んだのは信頼の置けるプロ集団だ。どんな手痛い拷問を受けたって、お前の家が、アイツらの口から割れることはない。この場所に俺たち大人は、立ち入り禁止ってことは知っているが、今回だけ大目に見てくれ」


「もう遅いです」



 先ほどから引越しの現場は

 ルチの激しいゲキが飛ぶ。



「その“約束”を最初に破ったのは、リカです。今さらです」

「俺を連れてきたのは誰なのか、まさか忘れているんじゃないだろうな」

「そういえば私でした!」



 奥からゴロゴロと運ばれてくる巨大な物体は

 もちろん『怪物の洞穴』から苦労の末に掘り出した“宝物”だ。

 その希少な嬉しい“収穫物”はいささか大き過ぎるために、

 正規のルート(グリッドストリート)から引き上げるのは諦めて

 【貧民地区・二番街(ベータストリート)】側の入り口から

 無理やり搬送することに急きょ変更された。




「ワクワクしませんかリカ? 私は、とってもワクワクしています! 理由は分かりませんが、すべてがうまくいくような……そんな、とっても素敵な予感が私はしています!」




 俺たちの前をゆっくりと過ぎていくのは、あの緑色の〈大樹(たいじゅ)〉だ。

 それはやはり、大いなる希望と期待を見る者に抱かせる

 遠い昔に零れ落ちた〈星の欠片〉に違いない。

 



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