表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

何をあげようか

 相変わらずの吹雪が、洞窟の外を吹き荒れています。

 それを子守唄にして眠っていた白狼は、ふと、もふもふと背中に乗る二つの重みに気が付いてピンと耳を立てました。


 もそりと体を起こし、くるりと振り返ります。

 そして、白狼は目を丸くしました。


「……童や。何をやっておるかの? ぬしは」


 背中に乗ったのは、子猫と小ウサギ。

 小ウサギをひっぱり上げたのは子猫です。


「喰らうために獲って来たのだぞ、そやつは」


 狼の牙で傷つけられたウサギを、子猫はずっとなめていました。

 まだ小さいから、食べられないから、血でもなめていたのかと思いきや。


「獲物を心配するなどと。なんとまあ、ふがいない童よ……」


 白狼は呆れてしまいました。

 並べた前足の間に顔を乗せ、大きくため息をつきます。


「人の里の獣とは、こんなにも情けないものなのかえ」


 それとも、人里の獣だから、人の食べ物しか知らぬのだろうか。


「仕方ない、人里は好まぬが……行って来るとしようかの」


 白狼がそう言った途端、子猫がころころと喉を鳴らしました

 どうやら白狼の行き先が、子猫にもわかったらしいのです。


「やれやれ、ほんに人里の物しか食べられぬのか。難儀よのう、待っておれ」


 と、洞窟の隅の枯れ草を集め、そこに猫とウサギを降ろします。


 そして、白狼は外に駆け出しました。


 みるみるうちに、その巨体が仔狼にまで縮みます。

 むっくりした足にも関わらず、その走る速さは突風のよう。


 そうして白狼が村につくや否や、村人が大声をあげました。


 小さな子狼の姿でも、その目で、神様だと理解できたからです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ