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冬の朝

 目が覚めると、僕は布団の温もりの中にいるんだ。そのあったかい所から一歩でも外に出ようものなら、一気にロシアの気候のような、もちろん僕はロシアになんて行ったことはないけど、そんな寒さに襲われることはわかっている。もう12月なんだから。僕は肩にグッと力が入るのを感じた。上の歯と下の歯が急いで何度もぶつかり合って、足は左右に細かく行ったり来たりしている。まるで僕の身体じゃないみたいなんだ。そんな冬の奴のいたずらが、僕は大好きだった。

 僕のお母さんが忠告するように、周りの友達がみんなそうしてるように、洋服を何枚も重ね着するなんてことは、僕は大嫌いだ。もちろん外に出れば、また冬の奴が僕に向かって風を吹いて、僕をブルブル震えさせるのを楽しむのは分かっているけど、僕自身その感覚が楽しくってたまらないんだ。

 今日だって、朝のお日様が僕の部屋の窓に見えるころに起きて、いつのも青い自転車で行く。青い自転車は僕のお気に入りだった。家から最初の100メートルは思いっきりこいだ。そうすると、冬の奴は、もう参ったよって感じで僕に降参して、冷たい風を吹くのをやめてくれるんだ。もうすぐいつもの小さな橋が見えてくる。街の中の小さな川なのに、何十羽ものカモたちの姿を見ることが出来た。カモたちは、いつも僕に向かって、冬の寒さなんてへっちゃらさって言うように、水の中でせっせと働く自分たちの姿を見せるんだ。僕は心の中で、カモに挨拶するんだ。いつも何気ないことをカモと話すんだ。まあ、今日はいつもより冬の奴がいじわるだねとか、今年の春はどこに旅行に行くんだいとか、そんな話をさ。

 そして僕はさらに強く自転車をこぎ出すんだ。だって、そうしないと、また冬の奴が、冷たい風を吹き始めるんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 常に動いていないと寒い、それが子供の目線でうまく表現されている作品だと思います。
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