太郎君とユイ
「太郎君!?」
ユイの大事にしていた人形。
「真菜が・・あなたに」
エイルは目を閉じた。
【はははは!人形如きに何が出来る!?ただの玩具だろう!?】
ユーキは人形を抱きしめると、若い女の声がした。
―――大切なユイの人形ユイの過去の象徴ユイの命よりも大切だった人形・・
ユイの命よりも大切な人形を生贄に捧げます・・だから、ユイを返してください。
「・・?」
「この声、真菜姉!?」
人形が光った。
亀のような人形の形から人間の形に変わった。
どの神か分からないが、神は彼女の願いを聞き取ったらしい。
「・・・・お母さん?」
ユーキは抱きついたまま顔を上げて聞いた。すると女性は頼りない・・でも優しい顔で微笑んだ。
「あたしと愛しい人との可愛い赤ちゃん」
ユイはぎゅっと抱きしめた。
「大きくなったね」
「お母さん!!うわぁぁんお母さんお母さんお母さん!!」
ストネットは何も言わず黒い気孔弾をユイに向かってぶつけた。
【!?】
が、弾き飛ばす人物がいた。
【貴様はトリューティテス!?死んだはずでは】
「おあいにく俺の契約内容は『ユイが死んだ』ら発動するようになっているんだ、ユイが生きている限りは俺も生きる」
導師は苦々しい顔をした。
マサカここまで来てユイに邪魔されるとは思っていなかったからだ。
【ふ、所詮何の力も無い女が何の脅威になるというんだ・・ふん!】
見えない力で天狗ごと女性を掴み、天を仰いだ。
【悪魔よ、再び契約をする!この者らを生贄に!我に力を与えよ】
「あ、残念」
ユイが微笑んだ。
「その悪魔さん、別の次元に帰るって言ってたよ?だから真菜の願いで最期っていってた」
【な、なんだと!?そんなふざけた理由が】
「あるんだと!」
トリューがストネットの身体を蹴飛ばすと女性たちは全員落ちた。が、それぞれ天狗を下敷きにしたので引きだった。
「結局貴方はそれだけの人間なんだよ、人を妬み力だけを望み、悪魔に頼むことしかできない最低の弱虫!」
【黙れ!何もできない小娘が!!】
まるで鬼のような腕でユイの肉を切り裂こうと手を伸ばしたがユーキが木刀を使って起動を逸らした。
「わぁーさすがトリューの子~強い強い」
「へへ」
「笑顔で拍手している場合ではないですよ!」
ウォーレンスが剣を構えもう一度迫ってきた攻撃をガードした。
「貴女は逃げるんだ」
「ううん。平気逃げないよ」
ユイは立ち上がった。
ヒーローは遅れてくるって言うけど、ヒロインはどうなんだろうね・・みんな戦って傷だらけになってどうしてこんなにも立ち上がれるンだろうって不思議なんだけど
でも、うん・・分かるよその気持
「どんなに力が無くて、武器を持つことができない何も無い空っぽの手のひらだって、ちゃんと繋がっているんだよ」
【ふふ、何を言っているのでしょうかね】
「そうだね~手を誰かと繋いで、離してしまえば手の中には何も残らないと思っているでしょう」
【当たり前でしょう!】
ウォーレンスが投げ飛ばされた、ジョルナンもトリューも剣を持ち戦う。ストネットから何本もの腕がはえた。
「でも、残るんだよ手のひらには」
ユイはユーキの頭を撫でた。
【はーはははっはっは!!!何を言っているのやら!】
「うん、あたしもよくわからない」
【はぁ?】
無いものは無い、あるものはある。見えないものは無いというのは正しい。見えるからといってあるかといえばそうでないし、手のひらがどうとか正直どうでもいいのかもしれない。
「手はね、いろんなものに触れるよね」
モノや花や汚物や機械や生き物や布や・・本当にいろんなもの
人の手ってどんな生き物の手より繊細で優しくて器用で、気持のいいものだよね
「うん、気持いい、良いもの・・いいものなんだよ手は」
【全く何をいっているのか分かりません!もういい、死になさい】
ユイは目を閉じた。
ユイはあくまでマイペース




