聖女の呟き
周に一回やって来るエイルはユーキに戦い方のノウハウとたまに聖女らしく平和と世界と今の状況について語った。
そして今日もやってきて、話が終わったところであった。
今日はお店がお休みの日だったので気を利かせたクナが場所を提供したのだ。
「師範あのね聞いてもいい?」
「何を?」
クナが持ってきたお水を飲みながらエイルは小さな弟子を見た。
「ユーキの本当のお母さんとねお父さんって何処にいるの?」
「死んだ」
「ぶぶ!!」
隣でお茶をすすったクナが盛大に吐いた。
「シンダ?」
「ちょっとエイル様!?もう少しオブラートに!」
「いいじゃない、いずれ知ることになるわ。早いほうが傷が言えるのは早いってもんよ」
「ねーちゃん」
ユーキはくなの服を引っ張った。
「死んじゃったの?ユーキのお父さんもお母さんも?」
「・・・・」
クナはユーキの顔が見れず目を逸らした。
「死んだのよ、暗殺者に殺されたの。殺したやつは分かってる。でも捕まえることができないの」
「どうして?」
「黒幕がいるの、この世界はね・・腐ってるのよ。貴女の母は偉大な人だったわ」
「偉大?」
「立派な人だったの。優しくて、思いやりがあって、いつも真剣で・・でもどこか抜けてて」
クナがユーキの隣に座って頭を撫でた。
「お姉ちゃんはユーキのお母さんが大好きだったんだよ」
「立派なのに、殺されたの?」
「腐ってるって言ったでしょう?食べ物のとかが腐ると言うのとは違うの、根本的に腐ってるの」
「・・わかんない」
「でしょうね」
「エイル様!」
相手が誰であろう、子どもでも自分節発動中。
「分かりやすく説明するとね。悪いやつが強いの」
(略しすぎな気が!)
「分かった」
(えぇ分かっちゃったの!?)
そのほうが子どもには伝わるのかもしれないと納得。
「ユーキが悪いやつやっつけるんだ!そうしたらお父さんとお母さん帰ってくる?」
「こないわよ」
「エイル様!!」
言葉を選んでください!せめて即答を止めてください!!
ユーキは泣いたりはせず顔を下に向けた。
「・・どうしたら帰ってくるかな、ユーキは会いたい」
「一生無理。どうなに頑張ってもどんなに足掻いても死んだものは帰ってこない」
「エイル様!言葉をもう少し選びましょうよ」
ユーキを抱きしめながらクナは講義した。
「この子には厳しすぎます!」
「でもね、ユーキ聞きなさい」
ユーキは顔をあげた。
「だからこそ、死んだものの意思をひき継ぐことこそが生きたるものの責任ではないかしら」
「???」
「ユイは・・君のお母さんは貴女を産んだら死んでしまうことを知っていたの」
「!・・ユーキを産んだら死んじゃうの?」
「ちがうわ、そういう運命だったの、決まっていたことどちらにせよ長生きはできなかったのね」
「・・・・」
ユーキは涙を一杯溜めた目で唇をかんだ。
「お前の母さんはね、いつも幸せを願っていたわ。誰よりも何よりもただ『幸せ』を望んでいたわ」
「しあわせってどうやって手に入れるン?」
「私にはわからないわ、幸せを見つけるのも感じるのも自分次第っていってたわ」
「っユーキは・・ユーキはどうしたらいいの?」
ユーキは涙をついに堪えれずに流した。
「ユーキは・・うぅうぁあああん」
「よしよし」
クナが撫でるとユーキはクナに抱きついた。
「ユイは・・平和を望んでいたユーキはこの世界を平和にすることができる存在」
「うぅぅ」
「ユイの意思を、私達の意志を・・背負って」
まだ小さな君には重過ぎるが、知っていてもらわなければならなかった。
シッカリその悲しみをココロに刻んでいてもらいたかったのだ。
「・・どうして、あの子だったんだろう」
優しすぎた君はもう居ない。
帰ってこない
もう・・
苛めることもできない。
・・。
「どうして」
世界は残酷だ




