夫
「うそ」
エイルは力の無い顔で座りこんだ。
家に帰ると誰も居ないどころか、庭は大量の赤い血で飛び散っており、つまれて時間がたった花が数本枯れて散らばっていた。
不思議なことは底に『身体』が無いことだ。
「この子・・」
小さな存在を抱きしめた。
「この子置いてどこいったのよぉぉ!!」
「この出血量じゃ致死量だよ」
タルタンは悲しそうに下を向いた。
赤ちゃんだけが小さな手を広げ母を求めていた。
「名前だって、聞いてないのに・・」
「とりあえず、旦那さんに会うべきじゃないかな?ここも危ないだろうし」
「そうね」
エイルは暗殺者を憎しみながら東雲の国に行くことを決意した。
○○○
○○
○
「ユイが、死んだ!?」
「わ、落ち着いておじゃる」
傷口を押さえて起き上がったアーネットは青ざめた顔で叫んだ。
「子は!?」
「子は女子と一緒に出かけていたので平気だったとか・・」
「くそ、私がジョエルを殺していれば」
「姉妹でそんなことを言っては、末弟が悲しみます」
桃色の髪にきちんと着物を着こなすこの少女はリューカいった。ココでは流華となのっている。
「弟?ふん、すべてアイツのせいだ、リューカ。お前は一番ノエルと仲が良かったのに、ジョエルが憎くは無いのか」
「罪を憎んで人を憎まず、ジョエルもまたワタクシの姉です」
天狗は天井で正座しながら顎に手を置いて考えるしぐさをした。
「伴侶は平気でおじゃりましょうか」
「トリューに伝えたのか?」
「いいえ」
アーネットは難しい顔をした。
大丈夫だろうか、ショックを受けるにしても消沈しなければいいが
廊下をわたりトリューの部屋に行く
「あいすみませぬトリュー殿おられますか?」
反応が無い
「トリュー殿?」
ふすまを開ける。
机の上で大量の紙を散らばらせたまま倒れているトリューがいた。
「あら、名前ですね・・『命名ユーキ』素敵なお名前ですね」
痛々しいが事を告げねばならない眠っているトリューの背をゆする。
「トリュー殿」
・・。
「トリューど・・トリュー殿?」
すでに事切れていた。
「トリュー殿!!!」




