夫に内緒
「は!」
どうやら暇すぎて眠っていたらしい。
目が覚めるとそこは荷車の中らしく、木の箱ががたがたと音を立てていた。
「う、うーん?今何時?」
「午後五時五分五秒……オヌシを攫ってから、一日もたっていないよ」
特に腕も足も縄で括られているわけでもなかったので、普通に起き上がる。
少し離れた位置に壁にもたれかかるように座っているのは眼帯をつけた髪の長いお侍さんみたいな女性だった。
正直美人さんだ
「っていうか何で女のお侍さん?」
「ん?ふふ面白いことを言うね……ワシは男だ」
「え!?」
がーん、がーんがーん……
つらい、女よりも美しい男!つ、つらい……
「何を落ち込んでおる?安心おし……手荒なことはワシはしないから」
そっちじゃないんだけどなぁ……まぁ美しい男に不細工な女の気持なんてわからないっか
って、考えてる私の心が不細工だね……はっはっは
「奴は違うけど」
「あー、うん確かにそうですね……あの人、強暴だから」
「俺のことか!」
光が差し込むと外から彼女が入ってきた
彼女……『イチル』
入ると同時に飛び蹴りを食らわしてきた。相変わらず、キレがいい
「……ほらぁ、蹴るじゃんか~」
暴力女と心の中で毒吐く
そう、今回あたしをあっさり攫った相手はイチルだったんだよね~
「あたしのことウジウジして嫌いっていってるじゃん~必要ないんじゃないの?」
「黙れうじ虫」
ヒド!?
「我々は旧文明の一族でね、今回の国家威厳が下がっていることは知っているだろう?」
「えぇ、(旧文明ってなんだろう?イチル世代の人かな??)まぁ勿論」
「お前たまに知ったような顔するよな」
あら、ばれてた?
「ま、簡単に言う反政府だ」
「てかイチルさんまだ諦めてなかったの?自分の国を取り戻すの」
「殺していいか?」
「きゃああああああああああああ」
煙草の火を目に当てようとしないで!?しゃれにならないから
「マジすんませんでしたぁあああああああああ」
「ち」
「これこれ、イチル……やめんか」
そういいながら美人の侍はイチルの腕をつかむと捻りあげた
「いでででで!?」
どうやら彼女、じゃなくって彼のほうが強いらしい
「そういえば、名前聞いてませんでした。えっと、ユイです」
「ワシは『ゼロ』だよ」
「えっと、……その違ってたら失礼ですけど、もしかしてスーツ名ですか?」
「よくわかったの」
いやいや、本名教えてくださいよ
「ま、反乱粒子だから人質にはまだ言えんよ」
「はぁ、そうですか~」
刀まで常備して、本当に……侍
「一つ質問いいです……」
がん!
「……か?!」
人差し指を立てて質問している途中にイチルがあたしのすぐ真横の壁を蹴った
すれんだぁ~な足が真横にあるよ~
「!?」
怯えて笑顔が硬直していると、いつものように不機嫌な顔で(相変わらずゴーグルの下にあって顔見えないけど)煙草を加えていた。
そしてイラついた口調で
「俺らはお前と楽しく会話するために連れてんじゃねぇよ」
つまり、黙れと
はい、黙ります、黙りますからこのすれんだぁ~な足をのけてください。
「うちの士気上げに十分活躍してもらうよ、事が終われば……ちゃんと帰してあげよう」
なんとなく正座して反省していると『ゼロ』がやさしくそういってくれた。
ちょっと胸キュン
「おめー旦那居るんじゃなかったのかよ」
「は!」
一瞬でも、っていうか今まで旦那のこと忘れてた!?
やば!ばれたら……ひぃ!!!
「黙っててね!協力するから!!!」
「?、おう」
だって、アタシの旦那さん……
どSなんだもん




