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噂の天狗は馬鹿だった。
「しまったぁー!でごある」
「ごある!?」
なんか言語能力が壊れてしまっているような気がする。
「なんぜ!なんぜ拙者が天狗とわかってでごじゃう!?」
「うん、何言ってるか分からないから落ち着いて」
「天狗だぁー!!」
城にいる兵士が全員集まったかというぐらい人々が武器を持って天狗をにらみつけた。
「殺せぇ!!」
いかつい将軍様が現れ命令を下すと、一気に兵士が天狗に襲い掛かったが
ひょい
天狗は空高く飛び上がった。
「・・・・。」
アタシと天狗は地面にへばりつきながら頑張って飛ぼうとしている兵士を見て、憐れんだ目を向けた。
麻子御前がぶちきれた。
「槍を持て」
槍を貰うと、オリンピック競技でも最高なんじゃなかろうかというぐらいスゴイ勢いで飛んでいった。
天狗に刺さる。
「ぐふ!?」
「忍・・狗!」
ゴメンね、忍者って言おうと思ったら天狗だったよね?合体しちゃった。
天狗はドサっと打ち落とされた鳥のように羽を散らしながら地面に落ちた。もしかして・・死んじゃった?
「天者ー!?」
あ、また合体しちゃった。
「いたた~でござる」
天狗は痛そうだけど平気そうに起き上がった。
「今です、殺せぇぇ!」
今度こそ兵士が群がった
「おーのー」
あの天狗さんいまいち良く分からない。危機なのに危機にならないというか、危機と感じていないと言うか余裕綽綽としている。
「うわぁぁ!妖怪め」
兵士が一気に風に吹き飛ばされた。
「危なかったデござるー」
「どこが!?」
華夜が寂しそうに天狗を眺めた。
「あなたが駿一郎様を幼少期に戻した・・天狗」
「そうでござる」
「なぜそのようなことを」
「大殿が拙者と【竹馬の友】になってくれるといったから、そうしたでござる」
竹馬の友・・幼いことから遊んで暮らしていた人のことだっけ?
大殿様もなんでそんな約束を・・
「しばらく遊んだ、とっても楽しかった。でも大殿は帰りたいといったでござる。拙者の術をもってしても本来持つ生真面目な性格は生きていたようでござる」
うんうん、なんか良く分からないけど。
地味に天狗の周りに屍が沢山・・っていっても生きてる兵士さん達だけどね。
「た、大変だー!」
馬に乗った人が現れた。
「大国の方々が参られました!」
「なんですって!?」
デズヘイムールの国の人?!
やばい、こんなところ見られたえら、また引かれそうだ!
「やはく、大殿を元に」
「天狗、私からもお願いします。元に戻してください。大殿様は私たちにとってとても大切なお方」
「いやでござる」
「お願い!天狗」
「頼む、母上の言うとおりにしてくれ」
「!」
自由太は天狗に頭を下げた。
「頼む」
自分の事ということを分かっていないのに・・この真面目さ。
「わかったでごじゃる」
自由太の周りを風が囲んだ
「!?」
びゅぉおぉ!!
風がひときわ大きくあがるともう子どもは居なかった。
「あぁ」
麻子が涙目で手をのばした。
「駿一郎様ぁ」
もとの立派な武将が仁王立ちでずっしりと構えていた。
うん、感動的だけど、そろそろおろして欲しいなあたし。




