夫の目の前で
「トリューねぇねぇ」
ユイはしがみついている男トリューの背中をつついた。
「馬乗ってるときに喋ったら舌かむぜ?」
「もう、カンダ……」
トリューはアホだとちいさく叫んだ。
「で?なんだよ」
「おこってるかな~って」
振り向かないトリューの背中を見ながら言うと、トリューは「・・・・・・」と黙ったままだ。
ユイは不安になってオデコをぶつける。無視しないでよと
「怒ってない……」
ほ
「わけねぇだろ!!!」
で、ですよねー!!!
「お前俺がどれほど心配したと思ってんだ!」
「ご、ごめんなさい~でもさ!アタシが悪いんじゃないってば~」
悪いのはあたしを攫ったイチルだよー
確かにみすみす攫われるあたしが悪いのかもしれないけど~
「あた、アタシだって……トリューに会いたかったんだから~」
うぅ、涙が、……あの日からなみだは良く流れ落ちるようになった。
「うわ!?泣くな!悪かったって……俺も八つ当たりしすぎた……」
「ごめんなさい~」
「分かったから、もういい」
町につく手前あたりで馬を止め、アタシのほうを振り返って抱きしめてくれるトリュー
本気でごめんなさい。
ぶっちゃけ時々あなたの存在忘れてましたっていったらキれますよね?
「俺も、不安だったんだ」
「え?」
「お前がまた居なくなっちまったんじゃないかって……帰ってしまったのかと思ったんだ」
「……もう、向こうには帰らない、これは絶対だよ。アタシはアタシの意思でココに残ったんだよ」
流されたわけでも、空気を読んだわけでもない。意志薄弱なアタシが絶対と決めた取り決めごと……だからそれだけは絶対守る
「ユイ」
「トリュー」
顔が、近づく……
「おやおやん、楽しそうでござるな」
「っきゃああああああああああああ!!??」
照れ隠しについトリューを押すと何の抵抗もできないまま馬から転げ落ちた。
「あぁお約束でごめん!?」
忍者喋りのほうを見れば、忍者が居た。
「……」
まごう事無き忍者、真っ黒の服にズキンに刀に、ワザとかと突っ込みたくなるような忍者ポーズ
「だ、だれですか?」
「うん、名乗るほどの者ではごじゃらんでごじゃる」
「もしかして旧文明の方ですか?」
「旧文明の血は継いでおるでおじゃる。でもテロリストとは違うでおじゃる」
「そうでおじゃ……ごほん!なんだ?」
忍者は頷いた。
「それで、その名乗るほどでもない忍者さんがなんかよう?」
馬から降りてトリューをゆすって起こす。
気がついたらしく起きた。
「っつ~」
「うむ、じつわでごじゃるな」
目にも留まらぬ速さってこういうことを言うんだろうな。
「!!??」
トリューが剣を抜く間も与えず忍者は馬にトリューを一緒に括りつけた。
「おぬしには用がないから、さっさと村にでもかえるでおじゃる」
ぱん!馬がお尻を叩かれ括りつけられたままのトリューは運ばれていく。
「こら!おめー何者だ!!」
「名乗るほどの者ではないでおじゃる」
いえいえ、ですから気になるのですが。
って言うかこのノリは……
「ついて来て貰うでおじゃる」
また、攫われるんですね




