夫に会いたい
しょりしょり、林檎をむくのはナーチェ。
前回の事件により、セェリアンヌ=ロディックは貴族の地位を剥奪され、城下町の牢屋に入れられているらしい、プライドの高い彼女だ。物凄い屈辱だろう。
そしてその姫君の『監視役』だったナーチェは今は私の『監視役』らしい。
「ねぇ、ナーチェ」
「はい」
林檎をむき終えたものを皿の上に置き、ベットで横になった居るあたしのうえにソレを置く。
「あの後どうなったの?」
「大変だったです。とても」
詳しく言わないあたり相当大変だったらしい。
「……死んだかと思ったです。姫も、アナタも」
そこは苦笑いで流す。
忠告と言いながら意地悪してきたこの子だけど、本当はいい子だったんだな。
「セェリ様が生きてて良かったね」
「……アナタが下敷きになっていたから無傷だったです。普通はありえないです」
そりゃそうですね。
「アナタにいたっては生きてますですし」
黄金の林檎のおかげですっていいにくいなぁ、変なところでアタシ運がいいのかな?……いやぁ運がよかったらそもそも死にかけたりしないよね~?
ぱくっと林檎を口に含む。甘い……
「私ユイ殿も好き……です」
いきなり?
でも好意をもたれて嫌なことはない。ありがとうと微笑むとナーチェは下を向いた。
「だから、ユイ殿の願い叶えてあげたい……です」
願い?
「今夜0時にベランダに出てください。あなたがココから出たいと言うのなら、私が逃げさせて差し上げます……良くお考え下さいです」
逃げれる?
こんこん、がちゃ
「ユイ、目が覚めたそうだね。大丈夫だったか?すまない私が傍にいたというのに……面目ない」
「あ、ジョルナン王」
傍に駆け寄るとナーチェは王に場所を譲り頭を下げた。
ちらっと眼が合った。
『アナタ次第です』
そう瞳が語っていた。
「私は君を愛している、私には君が必要なのだ」
ごめんなさい。そう呟く
「え?」
「私は大丈夫です。ですからできればセェリ様を慈悲を差し上げてください」
「セェリアンヌ=ロディックの此度の件でロディック家の身分は平民と同等になった。それだけのことを彼女はしたのだ」
「いいえ、お願いです。許してあげて?」
愛するヒトを奪われるその気持は私には分からない。でも、愛するヒトと別れなければならないその気持は痛いほど分かる。自分のせいで愛するヒトが傷つくなんて本当は嫌なはずなんだ。
「きっと後悔していると思うから、お願い」
「……本来なら死刑のところを配慮しての今の処分なのだが」
「お願い」
本当我侭ばっかりで悪いんだけど。
「……考えてみよう」
「ありがとう」
コンコンとノックがされ返事をするとナーチェが入ってきた。
「王、執務の時間です。」
「あぁ、分かったいこう、ではなユイ」
手の甲にキスしていくと扉の向こうに去っていった。
「……ここで玉の輿にのってもいいですよ」
それだけ言うとナーチェは微笑んだ。
「ナーチェ」
「はい」
ユイは困った顔で微笑んだ。
「アタシあなたに会えてよかった。ありがとう」
ナーチェは驚いた顔をしたあと、もう一度微笑んで頷いた。
「もったいないお言葉……です。ありがとう」
ありがとう、ありがとう。
いろんなところで大変な目にあうけれど、ヒトと人のつながりを感じれるのは、幸せなことだと思う。
トリュー
早くアナタに会いたいよ。




