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悪魔と契約



・・・・・・

・・・・

・・





必至にもがいて、必至に足掻いて、必至に手を伸ばしても……アタシの手には何も掴めないんだ……

アタシの手のひらは、空っぽ


「ふぁぁあ~」


女性と男性の中性的なアルトの声が真っ白な空間の中で聞こえた。

ざぁあああああああああ

と、とたんに世界が突如真っ暗になった。

      ・・・・


「おっと、拒絶反応か~」


さぁぁぁ


真っ暗闇からどこかの野原の風景になった、どこかで体験したこの世界。

この世界は……そう



「……太郎君?」

「それはMEが憑いてたときのだろ、心外だ」


太郎君、嫌われすぎ


「月と太陽が同じところにある……そうだ、ここ」

「夢であり、現実、深層世界」


昔と同じ口調で言われた。


「貴方誰なの」


そして、アタシはどうなってるの?


「自分で考えな」

「え」


それは酷くないですか?


「冗談だ、俺は私で私は俺でアタシはボクでMEはWEだ」


頭大丈夫かな


「お前に言われたらおしまいだな」


ヒド


ふわっと、影がせりあがり、噴水のようにぼこぽこと蠢いている。

いや、地味に怖いです。


「結局誰なの!?アタシに何か用なんですか?」

「いや、無いけど?」


ないんかい


「あ、ちなみにこの世界は前回とは少し違うんだな~だな~ん」


楽しそうに嬉しそうに何かと思えば影は沈んだ


「ココは俺の世界」


世界が再び暗闇に染まった。

そして恐怖の寒気が心の奥底まで溜まっていく


「!?」

「ワタクシの世界へようこそ~そうしてそのまま喰われろ」


声が恐ろしいマルデ獣の唸り声

頭の中まで闇色に染まっていくような、いいや!そんな程度ではない「私」が崩れていくような何も残らないような虚無


「いやぁああああああ」


酷い耳鳴りと全身感じる危険信号


「うっわぁ、苦しそうだね~辛そうだね~怖そうだね~」


声が酷く楽しそうだ。目敏くかわる色の世界を朦朧としてきた意識で流し見る。


「正体教えてやろうか?ミーは『悪魔』だよ。そこらかしこの『悪魔』とは一味も二味も違う。契約により、お前の魂は俺に喰われる」

「け、い……やく?」


そんなものした覚えなど無い。


「そりゃそうだ、お前はただの生贄だ」

「え」


生贄?

はは、本当忙しいなあたし……漆黒の毒婦の次は生贄


「契約内容はお前の魂と引き換えに己の力をより強力にすること。そして契約主は『ストネット=アルバージン』」


導師?


あんのやろぉ(怒り)


「知らない」

「ん?」

「アタシは、関係ないじゃない!?知らないわ!何でアタシなの!?」

「事のハジマリは奴が間違えて異世界の住人であるお前を呼び出した時から」


はい?


「ストネットは神に通じるものとして神と会話する能力を持っていて、ソレが評価されていたけど、ある日その能力がばったりと途絶えた」

「なんで」

「神の衰弱」


そうか、戦争続きで大地も空も穢れ神や聖獣に猛毒が及んだんだっけ?

神自身そんな暇がなかったってことか


「ま、若干実力主義みたいな国だからなあそこ」

「ぅ……」


身体に力が入らない、いつの間にか分からないけど気がついたら目を閉ざしていた。

まるで宇宙みたい、苦しくて無重力で、何も見えない。身体が震えているのが分かる

もうすぐきえてしまう……


「奴は神に祈りを捧げた。それで俺はちょっとした好奇心で奴の望むものを叶えてやったんだ。そうしたらお前が来た」


会ったことがある、そういってたなぁそういえば。

ダーかーら、何でアタシなわけ?


「お前の血族がこの世界にやってきた神殺しの毒婦だからだろう、自分の能力が消えたのではなく、毒婦によって神が『殺された』ことになれば、自分は見捨てられずにスムとでも思ったんだろう」


なんて愚かな……そして可哀想なアタシ


「ぷぷ」


笑いやがった


「でもやってきたのはチビッ子、それを人前に出して『神を殺した奴です』って言って誰が信じる?」


無理ですねー


「仕方ないから俺は目の前に出できてやったんだ」


そうしたら奴は迷わずこういった


この娘の命をくれてやるから私に力を!



さいてー

「さいてー」


まねしないでよ、ホント最悪

どうしてアタシはしあわせになれないのかな~?神様に嫌われるなんてなんか悪いことしたのかな?


「してないけど、理由はよく分かります」


なに?


「『悪魔』にとり憑かれてるからだろ」


あーなるほどーってあんたかい!?


「まあ顔の広い悪魔だからな」


何悠長に言ってんの!?


「俺優しいからお前死んだら魂喰おうと思ってたんだけどさ」


あれ?


「オ、気がついた?」




目をあけた。


太陽の光が眩しい

ちくちく痛む芝生の上で、真横には嫉妬に狂ったお姫様が居た。


「い、ったぁ」


身体がジーンと痛んで動かない。



――― 残念なことにお前『黄金の林檎』持ってただろう?

――― あの女神、嫌いなんだよねぇ……



声だけがそう言って空気に溶け込むように消えた。



あぁ、生きてたんだ……

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