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夫の心


緑色と青色が入り混じるような模様まるで自然を表しているかのような優しい色をした国旗がいくつも風に揺れてなびいていた。


ヴィルエールフ北帝国


昔からその国の人柄の差が激しいが根本的には何も変わらない。

暴君が帝位につけば戦争ばかりおこし、隣国からもおそれらるとともに嫌われる。

逆に聖君になれば人々は穏やかで安住だが周りの国に舐められ狙われる。



今はどちらなのだろう。



「おいっしー!」


入れてもらった紅茶を飲んで機嫌よく笑顔になる、目の前の姫様も声を聞いて嬉しそうに微笑んだ。


「あ、急に大きい声をだしてすみません」

「いえ、御気になさらないで」


姫はそういって優雅にカップを口元に持っていった。


「ユイは、どちらからいらしたの?」

「アタシは、えと……気がついたらココに」


嘘は言っていない。


「気がついたら?不思議ね……ねぇ、ユイ。貴方の目にはこの国はどう映る?」

「え?」


どうって……いわれてもね


「信仰の深い、わりには好戦的な……なんだろう……真面目?かな」


あんまり良く見て回っていないから良くわかんないや


「そう、じゃぁ・・私はどう映る?」

「はい?」


机の上に置かれてあったクッキーを食べようとした手を止めた。


「私は、色褪せてしまっている?」

「え……えぇ?」


後ろでナーチェが目で『余計なことを言ったら殺す』的な目をしていた。


「私ね、言われてしまったの『お前はつまらない女に成り下がった』って」

「うわ、ひっどい!誰がそんなことを?」

「ジョルナン=ディダ……彼とは……幼馴染だったの」


そして婚約者だったと


「ねぇ、私に足りないものって何?あなたにはあって私にはないものって何?」

「え?ええ?」

「私知っているのよ、貴女がジョルナンの婚約者で明日結婚してしまうことも」


迫られて持っていたクッキーを落としてしまった。


「お願いよ、あの人を盗らないで……私にはあの人しか居ないの!ねぇ、お願い」

「セェリ様!」


ナーチェがアタシとセェリの間に割ってはいる。


「お願いよ!」




「ユイ」



ハッと空気が引き締まったような気がした。


「あ、じょ、ジョルナン王」

「ジョルナン……」


ゆっくりと彼は歩いてくるとユイの腕を掴み引き寄せた。


「わ」


目の見えない彼女にもこの状況が分かっているらしく震えていた。

彼の顔は今見えないが、あたしにも分かる



彼は今とっても怒っている。



「ユイ、次あの部屋を出たら容赦はしない」

「うぅ」


本当に冗談ではない言葉に悪寒を感じた。


「それからナーチェ、セェリアンヌ」


二人は唇を硬く閉じていた。


「ニ度々、ユイに近寄るな」


それだけ言うと背中を見せて歩き出し、ユイの腕を引っ張った。



後ろでセェリの泣き崩れる音が聞こえた。


「ちょ、ジョルナン王何もそんなに突き放したように言わなくても」

「セェリアンヌは変わった。昔は活発で多少の危険なことは気にしない女だった」


え?


「しかし、ある日ドラゴンに襲われた際俺は片目を失いアレは『死』を恐怖し、擁護される人生を求めるようになった。……そんな女にかけてやる言葉なんぞ、無い」


あぁ、そうか

セェリアンヌ、貴女に足りないものあたしにはあって、貴女にはないものを分かったよ




私は、いつだって一人で戦ってるんだ。


貴女は戦う意思が、もう無いんだね……

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