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前回の知識と、2周目の肉体の可能性

 走りながら私は、肉体を流れる魔力を操作していた

 だがそれは、ただの魔力操作という領域からは逸脱していた

 祝福を受けたことで、私の魔力操作は魔法へと昇華された


 無属性魔法の最も初歩的な魔法であり、魔法を使う才能があるかどうかを分ける境界でもある魔法


<肉体強化>


 この魔法は、発動自体はそこまで難しくないのだ 人によっては、無意識に発動することもあるくらいに

 ではなぜ、才能の有無を分ける境界になるのか

 それは、魔力の操作が肉体全体で均一でなければならないからだ

 そうでなければ、肉体の強化がアンバランスになってしまい凄惨なケガをすることになる 走るだけで筋繊維がちぎれ、骨がくだけるのだ

 人によっては、肉体の一部だけ強化するというのもある

 が、それは結局のところ才能がない側の魔法使いになるだろう

 なにせ、<肉体強化>を使える魔法使いの身体能力は、身体を鍛えていなかったとしても最上位の冒険者に並ぶほど強化できてしまうからだ


 前回の私は、魔力量はさほど合ったわけではないし、才能もあったわけではなかったが、5年以上修行して<肉体強化>を会得していた ちなみに、才能がある側の魔法使いなら1週間でも覚えられる

 これは、実際に教えた経験があるから分かる。1周目の生で私は教師をしていた。それも、魔法の講師だ

 だから、しっかりと覚えているのだ


 理不尽なほどに、私と彼らには才能の差があったことを


 だが、この肉体ならばどうだ?

 若い肉体、十分すぎるほどの魔力、そして以前は持ち得なかった魔力の適性 それも一線を画すレベルの


 徐々に<肉体強化>の倍率を引き上げる。やわらかな風に包まれ、身体は空気を引き裂いて突き進む


 気づけば、街の外にある森へと辿り着いていた


「 さて、いろいろためすとするか 」


 そう言いつつ、付近を軽く見渡し手頃な大きさの木の棒を拾い上げ、それに対して魔力を流していく

 魔力を木の棒全体に行き渡らせたら、それを核として魔力の形を変形、最終的には剣の形へと変えていく


 前回の生で、私は魔法の講師だった。魔力の適性があるわけでもない。膨大な魔力の保持量があるわけでもない そんな私がなぜ魔法の講師になることができたのか

 答えは単純だ。私の無属性魔法が属性持ちの魔法に対して勝つ力を持っていたからだ


 肉眼で確認できるほど凝固に固められた魔力の剣を軽く一振りする それだけで、周囲に風が吹き荒れる

 誰にも極められない、そもそも極める価値すらなかったはずの無属性魔法を私は鍛え続けた

 初めは、人類のほとんどが無属性適性を持つのなら誰かの役に立つかもしれないと始めたのだが、それが転じて魔法大学の講師とは人生何が起こるか分からないものだ


「 さて、あらかた試したが無属性魔法は全て問題なく使えるようだな ならば、 」


 ここからは1周目の先だ

 魔力でできた剣 <無力の剣> へと、風属性の魔力を使う意識をしながら魔力を流していく

 これが合っているのか、私には正直わからない

 そもそも、魔力は魔力であって、そこに属性があるという感覚が私はまだよく分からないのだ

 以前生徒や同僚たちから聞いたことを頼りにやってみるしかないのだ


「 っ、もしかして、これか? 」


 しばらくそのまま魔力を流し続けていたら、ほんのわずかに、剣が緑色に風を纏うように見えた

 その感覚を忘れないよう、纏う風を強くするイメージで魔力をこめていくと、刀身全体が薄緑へと変わっていった


「 できた!私にも属性魔力を使ってこれができたぞ! 」


 これは、前回の生では私にはできなかったことであり、そして、私以外の生徒たちにはできていたこと

<無力の剣>に属性を持たせる ただ、それだけで、この魔法は1つ次元を上げる


<無力の剣・風纏 吹き荒れる暴風の刃>


 再度剣を一振り

 それだけで


 ズドォン


 離れた位置にある木を数本切り倒した


「 これも成功 」


 とても単純ながら、強力な力 剣を振ることで発生した風に魔力が乗って飛んでいく 

 言葉にするとそれだけだが、それがこの威力を出す

 そして、これは知らなかった利点だが、無属性で<無力の剣>を作るよりも風属性で作った方が魔力の消費は少ないということに気づいた

 もしかしたら属性を持ったことによるデメリットはあるかもしれないが、それを抜きにしてもなんて無属性に厳しい世界なのだろうか






土日に合わせて投稿を続けていけたらと思っています

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