Ep.08 帰省ミッション(Part 3)
とりあえず自由研究については弟と葵に一任した。
研究内容については私のPCを貸し、幾つかのサイトを紹介したのでそこから作り上げることは出来るだろう。
後は弟と葵のセンス次第だ。
「自由研究は自分たちで何とかしろ。絵は………書くのに時間がかかるな。俳句での提出に変える。で、貯金箱の作成は………」
「はい!」
「葵君、どうぞ」
「スイカ畑の貯金箱を作りたいです!」
「………………作れるのか?」
「作るの!!」
ふんすふんすと鼻息を荒くして言っている。
だが、最終的な落ちは知っているのでとりあえず意見を聞くことにした。
「材料は?」
「パパが用意してくれた!」
自信満々に机の上に並べたのはお菓子の箱とガチャガチャのカプセル。
そして色とりどりの折り紙が置かれた。
「箱とおり紙で畑を表現して、カプセルでスイカを作るんだ。でもお金を入れるところは作れないから、パパに手伝ってもらう!」
材料を指さしつつ、説明してくれる。
何かを作るのは好きな葵にとって、これから作業をしたいという意思の表れだろう。
が、今回はそれをぶった切る。
「まぁいいだろう。まずは俳句を考えて、それから工作に入るぞ」
「え~。僕、俳句なんて思いつかないんだけど」
不満たらたらである。
「脳をぶん回して創作しろ。日本人なんだから作れるはずだ」
「考えて~」
「テーマと五・七・五を入れれば何とかなる。とりあえず思いついた言葉を並べてそれらしくすればいいだろ」
紙と鉛筆を用意し、言外にここに書けと言う。
「思いつきません!!」
「始まってから五分も経っていない。真面目に考えろ」
「いーやーだーーーー。やりたくない!!」
「じゃあ夏休み終わったら先生の前で言えよ?「僕は宿題をやりたくなかったのでできませんでした!!」とな」
「それしたら僕が先生に怒られる!!」
「だったらやればいいだろ?」
「一緒に考えて~」
「一緒に考えたら昼食が白ご飯のみとなるが、いいんだな?因みに用意しようと思っていたのはオムライスだ」
うちのオムライスは白ご飯ハムを入れ、薄い卵を巻いただけのものが主流だった。
何せ忙しい母が一から作り上げるのは難しく、簡易に作らざる得なかったのだ。
そのオムライスも美味しいのだが、私はふわりとバターが薫るバターライスで作ったとろとろのオムライスが食べたい。
幸いにも鶏肉のミンチ(※弟に買わせた)と玉ねぎが冷蔵庫に保管されている。
「僕も手伝うから!」
「パパの許可があるのならいいぞ」
ばっと弟の方を見る。
「駄目に決まっているよね?宿題終わっていないのに」
ガクッと落ち込む姿が見えるが正論である。
「さて、葵。私は手伝っても良い。だがそうなると昼食がとても寂しいことになるが、どうする?」
「………………ご飯作ってください」
視線を私と何も書かれていない紙を往復し、小さな声で言い切る。
だろうな。と、思わざる得なかった。