Ep.01 アンパンマンでわかる、子どもの心
子供が通る通過儀礼として、「アンパンマン」というキャラクターがある。
何でも、ビジュアルがわかりやすくて、視覚が発達しきっていない小さな子どもでも認識しやすいデザインらしい。
弟に子どもが生まれたとき、親友に出産祝いを選んでもらったのだが、そのときも「とりあえずアンパンマンがいいよ」っと言われた。
それが理由で、アンパンマンのおもちゃをプレゼントした覚えがある。
さて、なぜそんな回想をしているかというと――
久しぶりの実家帰省時に、テレビでアンパンマンが放映されていたのだ。
懐かしいなぁと思いながら、興味本位で甥っ子と姪っ子、葵と羽瑠に聞いてみた。
「葵はアンパンマンの中で誰が好きなんだ?」
「かびるんるん!」
「何故??」
ニッコリとかわいらしい笑顔で、はっきりと言い切られた。
普通はアンパンマンとか、人気キャラじゃないのか?
「だってかびるんるん、ばいきんまんが命令しないと悪いことしないもん!」
「確かに」
子どもって、本当によく見てる。
でも大人目線からすると、「あれ自動発生するし、命令関係なく増えているぞ」というツッコミが喉元まで出かけたが、ぐっとこらえた。
「羽瑠はアンパンマンの中で誰が好きなんだ?」
「めろんぱんなちゃん!」
(よかった、普通の感性だ!!)
思わず、葵にバレないように拳を握る。
「どうしてめろんぱんなちゃんなんだ?」
「めろんぱん、おいしい!!」
キラキラしたお目でそう言い切られて、私は苦笑した。
「たしかに美味しいな」
もっと他の答えが欲しかった気もするが、よくよく考えてみれば、私の弟も似たようなことを言っていた。
「カレーパンマンが好き。だってカレー好きだから!」と。
ちなみに、その弟には「カレーパンマンには恋人が4人いるらしいよ」と言っておいた。
諸説あるとは言っていない。