009
「お泊りでしたら 一泊3000ガルドでございます」
「え! 3000ガルド!?」
「はい どうされますか?」
町の中にあった宿屋
今日はここで泊まろうと思ってガルドも沢山もらったし
ホクホク顔で立ち寄ったらこの結果だ。
まさかあの苦労して手に入れた薬草採取の報酬を
全額使ったとしても泊まれないとは…
「あ すみません ちょっと用事を思い出しましたので 失礼します」
「そうですか はい またお待ちしておりますね」
ちょっと言い訳じみながら撤退した。
辺りもすっかり暮れてきており、今からでは何か依頼をしようにも難しい時間帯だ。
はぁ どうしようかな…これはもうその辺で寝るしか……
比較的人通りの少ない路地に入り、寝転んだ。
「うわぁ 星が…綺麗だな」
星 そう星と呼ばれるもの。 ちょいちょい覚えてることはあるんだよな。
赤い大きな星 丸く、大きな白銀の星。
記憶が無いまま過ごす初めての夜
誰のことも思い出せないし、これからどうなるんだろうって気持ちでいっぱいだ。
あ お腹空いてきた…でももう面倒だな…このまま……zzZ
意識は落ちていった。
「ちょっとちょっとお兄さん」
「へあっ!?」
「ダメだよ~こんなところで寝ちゃあ」
「え? え?」
「町中では寝ちゃだめだよ 知ってるでしょ?」
ランプ?を持った同じ格好をした二人組が僕に話しかけていた
「あ そうなんですね すみません初めて来たもので…」
「あー 確かにお兄さんここいらで見たことない感じだね」
「どこから来たの? 宿屋はあったでしょ そこに泊まればよかったのに」
「すみません ガルド足りなくて…」
「そうなの? まぁ確かにちょっと高いよね 分かる分かる」
「とにかく 決まりだから、ここいらでは寝ちゃダメ いいかな?」
「はい すみません…」
僕は立ち上がり移動することにした。
パッと思いつくのは 今日薬草採取をした街道のエリア
あそこならゴブリンとかも来ないかも。
移動をして、薬草を取り尽くしたとこに行き
泣く泣く眠ることにした。
辛すぎるよぉ…