006
冒険者ギルドに着いた。
中に足を踏み入れると
やはり武装した人々が談笑していた
僕はその人たちをすり抜け 受付へと向かった。
「あのー すみません」
「はい 冒険者ギルドへようこそ 本日はどのようなご用件ですか?」
「えっと 冒険者をやりたいんですけど 何をしたら成れますか?」
「初めてのご利用ですね? かしこまりました それではこちらの用紙に必要事項を記入していただけますか?」
一枚の用紙を渡され 少し離れたところにある台で記入するらしい
書く内容としてはえーと…
・名前
・住所
・年齢
・冒険者の経験があるか
・冒険者業での事故や命を落とした際の保証はしかねることへの同意
といった内容だった
記憶が無い為、書ける内容が一つもないが…
どうしようか
あー…来る途中に見かけたあの看板…集え冒険者たち!みたいな看板に書いてた名前でも書くか
いや そのまんまじゃ流石に偽名ってバレるからちょっとひねって…
・ターク
うん これでいいだろう
住所は…ちょっと分からないし地名も分からないから 空白にして
年齢は…20くらいでいいか
経験は無しで
命の保証は同意にマル…と。
出来た用紙を受付へと持っていく
「お願いします」
「はい ……タークさん…と 住所は記入されてませんが」
「あ 住所はなくて…ですね 旅をしていて転々としてまして…」
「あぁ そうなんですね……分かりました
ではタークさんが冒険者を始めるにあたって詳しい説明をこれから係の者が行いますので 代わりますね」
奥の職員へと引き継ぎが行われ
僕は別室へと通された
「こんにちはタークさん ここからは僕が説明させていただきます
冒険者業は初めてということで しっかり説明させていただきますね」
幾つかの資料?を手に現れたのは
初老の男性職員だった
「まず 冒険者ですが 一言でいえば何でも屋になります」
「何でも屋…ですか」
「はい 表に武器を背負った者たちがいたでしょう ああいった魔物の討伐を生業とする仕事も勿論メインの仕事ですが
仕事によっては逃げたペットの探索から 植物の採取、畑の土いじりに料理の代行など多岐にわたります」
本当に何でもやるみたいだな
「また 冒険者はランクが分けられており、そのランクに応じて受注できる仕事内容も変わってきます」
ランク そういったものもあるのか
「下から 鉄、銅、銀、金、白金、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトとなっておりますが…オリハルコンやアダマンタイト級の冒険者は
もうここ数年は見ておりませんな」
「それは…亡くなってしまったりとか…?」
「あぁ いえ もうそのクラスの方々は比較的平和なこの町で受けられるクエストもありませんので 都心部へ拠点を移されているのですよ」
なるほど 階級が上がると より危険度の大きい仕事もするのだろう
「達成する内容によってギルドが冒険者を採点します その達成ポイントが一定の基準を超えると 等級昇格試験を受けられるようになります」
「昇格すると…何か特典のようなものは有りますか?」
「えぇ ありますよ ギルド関連施設での優待や割引、またその等級によっては貴族のような扱いに並ぶこともあります」