003
「あの 420ガルドなんですけど…」
「すみません 僕この町に来たばかりで…420ガルドが分からないんですけど」
「え? あの 料理を食べたので その代金をお支払いいただきたいんですが」
そうだったのか…てっきりただ料理を提供してくれる優しい食堂なんだと思ってた……
「すみません…その420ガルド持ってないんですが……」
「えぇ!? 困りますよぉ~」
と、その時 自分以外の人が店を出ようとしていた
「あ お客さんお帰りですか えぇと…料理が二品で…930ガルドですね」
もう一人の人は懐から小さな円形の金属を取り出し渡していた
「はい 1000ガルドお預かりします お返しが70ガルドです ありがとうございました」
金属のやり取りをした後その人は更に小さな金属の円形のものを受け取り懐へと収め
食堂から出ていった
「もしかして 今のがガルドというものですか?」
「え…もしかしてガルドの存在も知らないんですか?」
「は はい…」
そう答えると相手は信じられないものを見る目で見ていた
「ガルドも知らない…まぁたまーにそういう方もいらっしゃいますけど」
いるんだ よかった一人だけじゃなくて
「それでしたら何かガルドになるようなものはお持ちじゃないですか?」
ガルドの代わり…うーん そうはいってもさっき拾ったものしかないけど
インベントリから拾った石と棍棒を取り出してみた
「棍棒と… あっ 魔石!」
どうやらこの石は魔石と呼ばれるものらしい
「小さいですけど…これを換金すれば食事代を払うガルドにはなるかもです」
「そうなんですね 換金する場所とかもあるんでしょうか」
「ありますよ この町にも ここを出て 町の中央にある冒険者ギルド その隣が換金所です」
「冒険者ギルド…ってどこでしょうか」
「ぼ 冒険者ギルドも知らないんですか」
「すみません…世情に疎くて」
店員さんは簡単な地図を書いてくれ
それを僕に渡すと
「ひとまず、そこで換金してきてください 私は仕事がありますので離れられませんから」
と言い、自分の仕事へと戻っていった
「逃げたらだめですよー!」
うん 逃げはしないし美味しい食事を頂いたのだから なるべく早く戻ろうと心に決めた