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またぼちぼち書いていきます。
「それじゃこちらに、主人となるお客さんの血を一滴 垂らしておくんなせぇ」
ここでも血を登録に使うようだった。
なんでも、血は人それぞれ違った情報が詰まっており
個人の登録をするには打って付けの方法らしい。
これといった装飾の無い素朴なナイフ一本と小さな紙が机に乗せてある。
僕はナイフを手に取り、指を切り、血を垂らした。
「あ・・・う・・・」
奴隷の方も、奴隷商が入っていた牢から出しており、その痛々しい包帯に巻かれた手 その指先に慎重に 本当に小さなキズを
ナイフで付け、血を一滴垂らした。
「えー、種族は人間族、使える能力は何だったか…………うーん 記録が残ってないですねぇ 何も無いかあっても微々たる能力です 前の所有者は貴族の…誰だったか あー あそこか…今は没落した貴族のお下がりっていう女ですねぇ 」
満足に栄養が得られず手足は痩せ細り、目は焦点が定まらず、絶望が浮かんでおり
長い髪は手入れもされず栄養も無くボサボサで無残な姿に拍車をかけている。
…あとどれくらい生きてられるのか 早晩本当に死んでしまうだろう。
二人分の垂らした血が特殊な紙に染み渡り少し発光するとやがて光は消えた
「はい 以上で奴隷契約は完了です。 この紙は差し上げますし、無くしたり燃やしてしまっても構いやせんが この紙がある方が今後奴隷商会で何かしら手続きをする際に楽になりやすんで、取っておくのを推奨しますぜ」
彼女を早く何とかしないと…僕は気もそぞろに奴隷商に生返事をしながら商会を後にした
「ありがとうございます では これにて」
僕は彼女をひょいっと担ぐ…なんて体力は無いので、背負っていくことにした。
レベルアップの恩恵だろう、思ったよりも軽く感じた。
…実際に本当に軽かったのかもしれないが この命の重さを現してるようで、少し寂しい気持ちになった。
「うーん とはいえ まずは宿だな…またあの老夫婦の宿に行ってみるか」
町の人通りが少なそうな路地を選んで歩く。
それでも時折で会う人にはギョッとした顔をされ、奇異の視線を向けられたが
正直体力がキツく、気にしてるどころではなかった。
はぁ はぁ 僕体力なさ過ぎでは…?
何とか宿屋につき、頼み込むと大きめのタライとお湯とボロ布を頂けた。
包帯を解いていくとアザの浮かんだ体が目に付いた。
湯に浸した布を絞り、布で体をそっと拭いていく…布が擦れるだけでも痛むのだろうか、時折体を震わせていた。
拭き終わった後で、また包帯を巻いていく。
包帯はこの宿に来る途中で買った新品だ。
「…元気な時の君は一体どんな声で話して、どんな表情で笑う子だったんだろうね」
返事はかすかにかすれ声が聞こえたが、言葉にならなかった。
明日からどうしようか。
何か、彼女を救う手立てが無いか探してみよう。
狭い部屋に彼女と二人。
眠りについた。




