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012

北のトイレは、端的に言うとボロっちかった。

外観はボロボロで、建て替えた方がいいんじゃないのかってくらい風化も進んでるようだった。

それでも便器はそこそこ磨かれている形跡があり トイレ掃除だけは続けられてるのを感じられた。


「さぁ 取りかかろうか まずはオレがやっている様子を見とけ」

「わかりました」

「あ その前にこれ立てとけ」


渡してきたのは「清掃中」と書かれた立て看板だった。


「それ立てとかないとなぁ 知らんおっさんが用を足しに入ってくんだ」

「なるほど 立てておきます」


よいしょっと。

うん 流石にデカデカと書かれた文字を無視して入ってくる人は居ないのではなかろうか。

立て終えてトイレ内に戻るとチャンドラさんが絶賛便器と格闘中であった。


「ぬぅううううううう 今回の汚れは中々頑固だ」


トイレ横に組んでる水をかけながら 洗剤を使いつつ磨いていくチャンドラさん

手つきは実に慣れたものだったが その彼をもってして苦戦しているようだ。

大きい体の彼が小さな便器に四苦八苦している姿はちょっと可笑しかった。


「よし ほれ こっちの隣の便器 お前さんがやってみろ」

「やってみます」


ごしごしごしごし んー 落ちているのか

洗剤もかけて使ってみる ごしごしごしごし


「うむ! 中々見どころの有る磨きっぷりだな!!」

「そ そうですかね よく分からないんですけど」

「あぁ オレもそんなもんだった 何で便器磨いてるんだろうってな」

「(いや 仕上がりがどの程度で良いのかが、よく分からないって意味だったんだけど…まぁいいや)そうなんですね」

「しかしな! オレはこれをやることによってこの町のことがよく分かると思っている!」

「この町…ですか」

「あぁ! ここの便器! 汚いだろう!」

「…そうですね」

「しかしな! 以前はこのトイレも存在しなかった!」

「そうなんですね じゃあトイレはどこで…」

「そこいらでしていた!」

「え」

「皆、好きな場所で各々が立ち小便をしていたのだ!」

「それは…ちょっとニオイそうですね」

「あぁ だがな それではイカンと町にトイレを設置するように言ったヤツがいた」

「すごい人なんですね」

「うむ いずれはお前もそんな人物になれ!! わっはっは!」


随分と無茶を言う人だ

僕とチャンドラさんは掃除を続けた。

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