010
「んぁ……朝……か」
結局あれからも 近くでガサガサと音がするたびに目が覚めて
浅い眠りを繰り返した…寝不足は否めない。
でも日が昇ってるし…ギルドの依頼あるし…行かなきゃ。
「あ…お腹空いたなぁ」
町中へ入ると、香ばしいニオイが漂って来ていた。
建物の前で机を置き、その上に何やら丸い茶色をした固形物を並べている様子だった。
ニオイの発生源はあれだろうか?
近づいていると気付いたおばちゃんがいい笑顔で話しかけてきた
「おや お兄さん早いねぇ 冒険者か何かかい?」
「あ はい といっても昨日から始めた新人なんですが…ナハハ」
「ほーう 新人さんかい じゃあ頑張んないとねぇ 食べないと力でないよ?」
「そうですね これはガルドで買っていいんですか?」
「ウチの名物のパンたちさぁ どれにする? こっちは100ガルド このクリーム入りなら130ガルドさね」
パンというらしい。
僕は100のやつと130のやつを一つずつ買った。
「まいどあり。 お? クララの嬢ちゃん 今日も早いね~ 」
いつの間にか隣に女の子が来ていた。
けっこう可愛い。 好みの女の子だ。 率直に出てくるのがコレって…僕は女好きだったのかな…
「おばさん おはよう。 これください。」
「あいよー 130ガルドね~」
おばさんと短いやり取りをして女の子はこちらを一瞥すると
スタスタと去って行った。
「今の子は?」
「あぁ あの子も冒険者さ。 何と言ったっけねぇ 難しい言葉のチームの一員だったハズさ」
「ふーん 冒険者チームかぁ」
「あんたも 有名冒険者になるまで頑張んだよ!」
「アハハ はい、頑張ります」
おばちゃんと別れ そばにあったベンチに腰掛けてパンとやらを
黙々と食べた。出来たてらしくふんわりとしており、特にクリーム入りのちょっとお高い方は
生地とよくマッチしており 甘い味付けで実に僕好みだった。
もぐもぐ食べていると遠目でさっきのおばちゃんのとこに人だかりが出来ていた。人気なんだな。
食べ終えた僕は早速ギルドの方へと向かった。




