第3話 襲撃
炎の槍を浮かせ魔物に対してぶん投げる。だが、能力を使われ別の方向に飛ばされ、木に当たる。
「一本だけだと思うなよ」
そう言いながらもう一本新たな槍を生みだす。今度は身体に直撃し、魔物の身体が一気に燃え上がる。グギャグギャなんか叫んでいるが当たり前と言えば当たり前だ。俺が魔物だったらあんなのくらいたくない。もし人間にあの槍使ったらだいぶ非人道的な攻撃だ。
「おい、なんか突っ込んでくるぞ!」
マジか、火だるまになりながらも俺たちを倒す事を諦めてない。
「しぶといな、あいつ。開人やれるか?」
「いや、動きが早くなっている。多分最後の足掻きで暴走してるだけだと思う」
「もう一本だけ槍使うか?」
「流石にあそこまでダメージくらってたら使わなくても良い気が……」
魔物の暴走は自身に命の危機が迫った時に起こりやすい。
槍の効果は対象を燃やす事ができ、しかも自動追尾でお手軽な攻撃方法の一つとして『炎』系の能力者は多くの人が使えるらしい。
槍の効果で継続的に炎のダメージをくらうから、暴走の条件は満たしている。だが、暴走はすぐに終わることになる。死の危機だから最後の悪足掻きをしてやるぐらいの精神で暴走してるにすぎない。
今先程まで元気に暴れていた魔物は力なく倒れ、秘宝を残しこの世界から消滅した。
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「やっと倒せたか」
今さっきまで風の柱に追われて逃げていたフラスが言う。
「なんとかな。槍使ったのに思ったよりしぶとかったし」
「まぁ秘宝をゲットできたし、何もないよりはマシだからね」
これで俺たちの持っている秘宝は6つ。着実に貯まってきているが、未だに分からないことがある。
「結局あと何個集めればいいんだよ?」
「中々分からないもんだ。色々情報を集めているが、15個集めれば良いとか30ぐらい集めれば良いとか、人によってというか曖昧な情報しかないんだよ」
そう何個集めれば願いが叶うのかが分からないという状況だ。3年間、情報を集めたが全員言ってる情報が違い過ぎて信用もクソもないから難しい。
「地道に集めるしかないか」
「それが一番いいのかもな」
全ての秘宝を手に入れるのにどれほどの時間がかかるかここにいる誰にも分からない。だが−−−−−−
「俺たちは諦めないで必ず願いを叶えよう」
フラスの言葉に俺たちは全員で答える。
「「「あぁ」」」」
「今日は帰ったらゆっくり休むぞ」
宿に帰る途中フラスは言う。
「あぁ、僕は汗かいたから風呂に入りたい。先に入っていいか?」
「構わないけど、長風呂すんなよ」
「フラスと開人は速すぎなんだよ風呂が。体洗ってないのか?」
「洗ってるが?」
そんな話をしながら歩きふと周りを見渡す。木ばかりで変わり映えしないが、少しの違和感に気づく。
「なんかあそこの木他のに比べて、でかくないか?」
「そんなこともあるだろ」
まぁそんなもんかと納得しかけるが何か引っかかる。ここに来た時にはあんなでかい木はなかった。急に成長したのは無理があるはずだ。
「なんだここ?木が多すぎて通れないぞ」
「遠回りするか?」
「そうだな、めんどくさいがしょうがない」
少し歩き、別の場所を探す。
「ここも通れないぞ」
「めんどくさいからさ、剣使っても良い?フラス」
「この際しょうがないからいいぞ」
「じゃあ使うね」
『神威』を取り出し木を斬りつける。当たったがダメージが入らないのは何故だ?一切傷もついていない。木の強度を上げる能力か?
「開人!危ない!」
「は?」
後ろを向いた瞬間、男二人が銃をこちらに向け引き金を引いた。