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1940年初旬。世界の人々の予想を大きく裏切り、フィンランド人は祖国を守る事に成功した。
フィンランド軍が示した手腕は、義勇軍として参戦した、大日本帝国の不死者たちも、思わず関心してしまう程の鮮やかさだった。
彼らは不死の軍隊を罠として活用した。雪に埋もれた死体をソ連軍が通り過ぎた後復活させ包囲する、爆弾を括り付けたゾンビによる対戦車攻撃を行う、グールの変えたソ連兵で、偽電を流し、罠に追い込む等など嫌がらせの限りを尽くす。
義勇兵も負けてはいない。霧と共に後方に浸透し殺戮の行い、ゾンビヘラジカを連隊本部に突っ込ませ、その辺で捕まえて来たトロールと、泣き喚くソ連兵を融合させた奇怪な巨人で、敵陣を恐慌に陥れるなど冒涜的な攻撃を持ってソ連の進撃を妨害する。
この様な攻撃でソ連軍は甚大な被害を被り、史実を超える膨大な死者をだしている。だがこれだけでは、史実と同じく、条件付き講和でフィンランドが領土を奪われているだろう。
最後の決め手は、矢張り死者による大規模攻撃だ。今回の戦争で
でた十万を優に超えるソ連軍の戦死者、その全てをフィンランド軍はレニングラード攻撃に差し向けたのだ。
それだけでは足りないので、フィンランド国民は、涙を呑んでご先祖様を墓から追い出し、投入する事までした。現代の戦争は、国家総力戦なのだ、利用できるなら何でも使う。
戦後、大分問題になった、この死後徴兵は効果抜群。レニングラードに迫る死者をソ連と言えど無視はできない。急遽、全戦線から搔き集めた砲兵で、この突撃を妨害せんと、戦場に火砲の雨を降らす。
これを見逃すマンネルヘイム元帥ではない。乾坤一擲の総攻撃を持って、カレリア地峡以外の戦線で攻勢にでた。
結果は明らか。レニングラード外苑に死者が取りつき、恐怖に縮みあがる兵を、督戦隊が叱咤して不浄なる白兵戦が生起した所で、ソ連はしぶしぶながらフィンランドとの白紙講和に合意した。
実質的な、フィンランドの勝利に終わった冬戦争。この勝利に世界は驚愕した。
「死者の大量投入は、数でも質でも劣る小国を、大国に十分対抗可能にしてしまう」
日中の戦争では、観戦武官の一人も送り込めず、また距離が距離なので、大した情報も手に入らなかったが、フィンランドは欧州であるので、各国はあらゆる手段で情報を手に入れている。
足りなくなった男手を補う為、白骨が動員され、武器弾薬の運搬から、塹壕の構築、交通整理まで死体が活躍している所を、各国から派遣された武官や、諜報員はその目にしている。
各国の反応は様々である。
「フィンランド程度の国家で、この有様なら、日本が大規模に死体を動員したのなら、どれ程の被害がでるのか?
「被害も出ない、給料も恩給も要らない、文句も言わず24時間働く兵士、、、欲しい!」
「欲しい!だが国民が、どう言うか、、、貴方のご先祖を使ってもいいですか等、とても言えない。教会が猛反発するのは目に見えているし、、、」
「せや!ローマの時代の兵士なら国民も文句言わんやろ!遺跡は、なんぼでも国内にあるんや!そこ!ボサっとせんと日本大使館に連絡せんかい!」
苦悩する国、死者の利用を模索しようとする国色々である。そこに飛び出したのが、今回の勝利の立役者と言える大日本奴隷帝国の発表である。
帝国ホテルにて挙行された、帰還した義勇兵の凱旋式。そこに集まる招待客に向けて、大死霊術師永山は、ぶちまけたのだ。
「この技術を帝国は独り占めに等しません!お求めならば、我々は何時でも技術者を派遣する用意があります!世界は兄弟!皆友達!皆で幸せになろうではないですか!」
飛びついたのはドイツ、次いでイタリアの両国である。両国は、発表から間を置かず大使館に技術者派遣の要請を出した。
これに驚いたイギリス、フランスも後に続き、他の連合加盟国も派遣を要請、唯一アメリカのみが国内事情を理由に及び腰だが、国内では喧々諤々の論争が行われている。
だがそれも国家としての事情。欲の皮の突っ張った連中はどこにでもいる。日本が民間にも広く需要を喚起したいと発表した事で、植民地でプランテーションを経営する資産家などは、我も我もと手を上げた。
悲しいかな、現代に置いても人の命はとても軽い。植民地人となれば物凄く軽い。特に黒いのと黄色いのは軽い。どんなに言い繕うと軽い物は軽い。
忽ち、各地のプランテーションや鉱山等では、試験的な死体の利用が密かに行われる事になる。法整備も追いつかない、これが本国ならば規制のしようもあるが、植民地にそんなものない。
「文句ばかり言う現地人より良い!しかもタダで24時間働いてくれる!死体はそこいらから拾ってこれる!死霊術最高!」そんな事を公然と言う馬鹿も要る位だ。
既に第二次世界大戦は始まりつつある。労働力は幾ら有っても良い。向こうが使うならこちらも使う。それで自国民の被害が少なくなるなら良いじゃないか、そんな空気すら欧州では起こり始めている。
怒ったのは宗教界だ。バチカンは公然と日本を非難し、各国の聖職者も、死体の利用と、邪術の使用を止めようと躍起になる。
だが駄目。バチカンのお膝元であるローマ市で、朽ちた聯隊旗をはためかせるレギオンが闊歩しだす頃になると、イタリアでは死後徴兵法がドゥーチェの肝いりで制定され、ドイツではブランデンブルグ門でプロイセン軍が行進し始める。
ファシストに死者への敬意など無い。彼らが勇気ある死を称揚するのは、それが国内政治に利用出来るからだ。死体が再利用できるなら、何を躊躇う事があろうか?
死霊術は暗黒の力である(少なくともそういう設定だ)であるから、恥も外聞もない卑劣な者に暗黒の神は微笑む。それが破滅への第一歩なのだから、、、




